新春特集=アナリストの視覚と死角、原油相場をどう見たか②
マーケットエッジの小菅努代表取締役は、需給動向や価格の方向性は概ね想定どおりだったが、相場は予想以上に強かったと振り返る。在庫正常化を前提にしても85ドルの高値は2020年の新型コロナ感染拡大および深刻化から考えるとサプライズ感が強く、ここまでは想定できなかったと語る。
その想定外の出来事として、エネルギー移行の理想と現実のギャップが2021年に顕在化したことを挙げた。もう数年先の問題と考えていたが、脱炭素の議論が想定以上のスピードで展開されたことに驚きを隠せないという。また、OPECプラスの増産能力の低さも驚いたという。もう少し先のテーマと考えていたが、2021年に早くも問題化した。
野村證券の大越龍文シニアエコノミストは、2021年の原油相場を上昇後に横ばいと予想し、ある程度そのとおりになったという。ただし、新型コロナウイルスの感染拡大による需要抑制、米シェールオイル増産警戒などが上値を重くし、50ドル台での横場をイメージしていたが、実際に70ドル程度で横ばいとなるなど、想定よりだいぶ上振れしたと振り返る。
その背景として、米シェールオイル生産の低迷、さらに欧州天然ガス価格の高騰と、その高騰が原油価格に影響したことは想定外だったと語った。さらに2021年に脱化石エネルギーの流れがここまで強まることは想定できなかったと総括した。
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