ロシア=ガスプロムが送ガス管「TS」、「シベリアの力」に充填、稼働
ロシア国営天然ガス会社のガスプロムは11月下旬、ロシアと欧州を結ぶガスパイプライン「ターキッシュ・ストリーム」(TS)に関連し、支線2本に天然ガスを充填したと発表した。支線2本はロシア領の黒海沿岸のアナパ近郊からトルコ近郊のクユキョイのターミナルをつなぐ。
また、ロシアと中国を結ぶガスパイプライン「シベリアの力」の天然ガス充填が完了し、12月3日に中国へのガス輸送が始まった。2014年4月、ガスプロムと中国石油天然気集団(CNPC)は30年間にわたり、年間380億立方メートルを輸送することで合意していた。
ガスプロムはまた、液化天然ガス(LNG)ビジネスが今後も成長するとの見通しのもと、投資を促進することを明らかにした。ガスプロムのニュースリリース(11月19日付)によると、2030年までLNG輸出を増やす方針としている。
他方、ガスプロムは11月22日、ロシアからオーストリアへの天然ガス輸出量が2019年11月に過去最高に達したと発表した。年初から11月21日現在の対オーストリア輸出量は18年通年比2.8%増の127億立方メートル。前年同期比で33.5%(32億立方メートル相当)の増加となった。
一方、ガスプロム傘下の石油企業であるガスプロムネフチは11月半ば、シベリア連邦管区にあるオムスク製油所の近代化工事で、ディレードコーカーのプラント向けに最新設備10基を搬入したと発表した。オムスク製油所では、既存設備の工事に加え、ディレードコーカーの新設が進められている。投資額は約8億ドルで、2021年に完工する予定だ。
このほか、ロシアのタタールスタン共和国で石油ビジネスを展開するタトネフチは10月末、フィンランドのネステがロシアで手がける石油小売り事業の買収を完了したと発表した。ロシア北部から西部地域にある給油所75カ所と、サンクト・ペテルブルグにある石油ターミナルが買収対象になる。
ところで、サウジアラムコの新規株式公開(IPO)に関連し、ロシアのルクオイルはIPOに参加しない意向を示した。ルクオイルのアレクペロフ最高経営責任者(CEO)が11月中旬、報道関係者の質問に答えたという。これに対し、ロシア国営ファンド「RDIF」のドミトリエフCEOは10月末、ロシア-中国投資ファンドが中国からの投資を募っていることを表明済みだ。