エネ庁= 30年の省エネ量、800万キロリットル上乗せ-暫定試算
資源エネルギー庁はこのほど、2030年度の省エネルギー量について、現行目標から石油換算で800万kl上乗せし5,800万klとする暫定値を明らかにした。同庁が8日開催の省エネ小委員会で示した資料によると、省エネ対策を見直した結果、部門別のおおよその上乗せは、運輸が500万kl、産業が200万kl程度、業務と家庭が各100万kl (各部門で端数処理)。一方、現行の長期エネルギー見通し(エネルギーミックス)は、年1.7%の経済成長を前提として、5,036万klの削減により2030年度のエネルギー需要を3億2,600万klに抑制できる見通しとしている。
運輸、トラック輸送の効率化が貢献 今回の暫定的な試算で、運輸部門は、特にトラック輸送の省エネ量を370万klと、現行目標の47万klから大きく引き上げた。高効率化の進展を勘案したという。また、エコドライブ(*1)とカーシェアリング(*2)も785万klと、現行の621万klから上乗せ。自動車単体や内航船などは、2050年の「カーボンニュートラル(炭素中立)」に向けた対策を検討中であるため、具体的な数値の算定は持ち越したが、運輸全体としては2,100万klとした。産業部門では、化学の上乗せ幅が目立った。新技術導入などを踏まえ、現行の82万klから151万klに増加。このほか窯業・土石や紙・パルプに加え、業種横断的な対策でもそれぞれ省エネ量を引き上げた。鉄鋼は、省エネ設備や新しい製鉄プロセスの効果が見込めるが、粗鋼生産量が見直し中であるため、具体的な省エネ量の試算のためにはまだ検討の余地を残す。業務と家庭部門は、大枠の省エネ量を試算したが、関連機器のトップランナー基準(*3)の見直しなど、各種対策を精査するためさらに検討を続ける。
*1緩やかな加速やブレーキなど環境境負荷の軽減に配慮した自動車の使用 *2自動車を複数会員で共同利用することにより、車両台数の増加を抑制する *3効率が現在商品化されている製品のうち最も優れている機器の性能以上にすることを目指す基準。
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