NEDO=製鉄工程の水素活用計画に着手、総額1935億円
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、グリーンイノベーション基金事業の一環として製鉄工程で水素を活用するプロジェクトに着手すると発表した。プロジェクトの予算総額は1,935億円で、予定期間が2021年度から2030年度。実際に関連の開発を担うのは事業を共同で提案した日本製鉄とJFEスチール、神戸製鋼、金属系材料研究開発センター(JRCM)の4社。プロジェクトでは関連の技術を開発し、製鉄で発生する二酸化炭素(CO2)の排出量を2030年までに50%以上削減することを目指す。
プロジェクトは2分野、合計4項目 7日のNEDOの記者発表によると、プロジェクトは2分野を対象とし、それぞれ2項目の合計4項目。第1の分野は「高炉を用いた水素還元技術の開発」。現在、鉄鋼生産の主流は、石炭(コークス)を使い鉄鉱石から酸素を取り出す(還元する)「高炉法」。高炉法では、還元により大量のCO2を排出するのが問題。鉄鋼業は、日本の産業全体でCO2排出量の40%を占めるという。コークスの代わりに水素を使いCO2発生を削減しようとするのが水素還元技術。プロジェクトでは、(1)製鉄の過程で発生する水素(副生ガス)を活用した水素還元技術、(2)外部水素や高炉排ガスに含まれるCO2を活用した低炭素化技術―の2項目に取り組む。 第2の分野は「水素だけで低品位の鉄鉱石を還元する直接水素還元技術の開発」。高炉法よりもCO2排出を抑制できる製鉄方法として、天然ガスを用いて鉄鉱石を還元し、電炉などで溶解する「直接還元法」がある。ただ、直接還元法も天然ガスを使うためCO2を排出するほか、電炉の場合、高炉に比べ不純物の除去が困難であるため低品位の鉄鉱石の使用には向かない。プロジェクトでは、(3)直接還元法でも天然ガスの代わりに水素を使いCO2を削減できる技術(直接水素還元技術)の開発、(4)電炉で低品位の鉄鉱石を利用し不純物を除去する技術の開発―を目指す。
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