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シンガポール=米ヒューストン由来の樹脂混入バンカー油確認

2018/08/01 16:26

 米国ヒューストンで本船機関への被害が報告された、クミルフェノール樹脂が混入したバンカー重油がシンガポールでも確認された。分析機関によると、本船の遠心分離機、パイプライン、燃料フィルターなどが多量の粘着物質により詰まりを起こす事例が6件ほど報告されている。市場関係者が以前から懸念していた樹脂混入燃料がシンガポールでも確認されたことで、同港からバンカー重油を輸入している、香港、韓国、台湾などでも被害の拡大を懸念する声が聞かれた。

 既報のとおり、クミルフェノール樹脂が混入したバンカー重油を使用し続けると、本船の燃料供給設備に大量の粘着物質が付着する。パイプやフィルターの詰まりが生じ、最悪の場合、主機、補機などの機関停止に至る。補機の停止は本船の全電源停止(ブラックアウト)を意味し、非常用補機が稼働するまでの間、操縦不能に陥いるリスクがあるとされる。

 今年3月に最初の事例がヒューストンで報告されて以来、被害の拡大に終わりがみえない。混入の原因が判明しないことに加え、契約の基準となっている、ISO8217にクミルフェノール樹脂の厳密な規定が無いことが、問題を複雑化させている。クミルフェノール樹脂はベンゼン系炭化水素から成る石油化学物質で、ISO8217では、石油化学物質の添加物混入に関する厳密な規定がない。そのため、船社からの求償に対し補償を拒む供給業者が多くみられる。また、使用開始から問題発生まで一定の時間がかかるため、求償を行った時点で、契約上求償できる期限(タイムバー)を過ぎてしまうケースも散見される。

 現在、船社は、問題の発端となったヒューストンやパナマでの燃料油手配を中止するなどの措置を講じている。日本、極東ロシア、タイなど、製油所の精製玉が購入できる港で補油すれば問題は起きないものの、航路や価格面から必ずしもこうした港に寄港できるとは限らない。また、一部の船社は、樹脂が混入したバンカー重油にMGOを混ぜて使用することも検討しているが、費用増につながり、負担は大きい。今後、世界最大の燃料油供給港であるシンガポールで被害が拡大することも懸念され、すでに8月のバンカー重油の価格が上昇している。さらに輸出先の香港、韓国の市況にも大きな影響を与えている。

東京 : 山岡 彩奈  03-3552-2411
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