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米国エネルギー事情=「シェールの風が吹けば、砂屋が儲かる」

2014/08/13 11:02

 米国におけるシェール開発が進むなか、砂(サンド)産業界の高笑いが止まらない。フラクチャリング(水圧破砕工法)で、砂は水と化学品を混合する際に使用され、シェール開発事業に欠かせないものだ。事業が活発となるにつれ、砂需要の増加にともない、砂生産・加工企業の株価は右肩上がり。米国では「シェールの風が吹けば、砂屋が儲かる」の様相を呈している。

 RBCキャピタル・マーケッツの予測によると、2014年における砂の使用量は約950億ポンド(4,300万トン)で、前年比で30%上昇する見込みだ。この数字は想定の5割増しになっている。一般的に、1つのガス井で約500万ポンド(2,270トン)の砂が使用されるという。米ウィスコンシン州やミネソタ州で産出される石英砂(珪砂)が高品質とされ、シェール開発に最適とされている。純度の高い石英砂を使用すると、石油やガスの回収率を向上させられるそうだ。現在、これら2州だけの供給では追いつかず、米テキサス州やアーカンソー州の品質の劣る砂も手当てされているほどだ。

 砂需要の増加は、砂の生産・加工企業の業績向上につながる。主な企業の株価は軒並み上昇基調にある。ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場する、フラクチャリング用の砂採掘・加工を手がけるエマージ・エナジー・サービシズは昨年、創業以来の業績好調で株主に対し、高配当を実施した。今年5月1日に1株当たり70ドル前後だった株価は8月11日現在、同117ドル強の高い水準で推移している。

 同じくNYSEに上場する米シリカの株価は1株当たり60.53ドル(8月11日終値)と、5月前半から15ドル近く上昇している。シリカは、今年後半の砂供給が少なくとも25%増加するとの見通しを示す。さらに10~20%の値上げをベースに価格交渉が始まっているという。また、米テキサス州ヒューストンを本拠地とするハイクラッシュ・パートナーズは、砂価格が年末までに10%程度高くなると予測。同社は現在、砂のさらなる需要増加を見込み、7つの長期契約を油田サービス企業と締結したとしている。

 飛ぶ鳥を落とす勢いの砂産業界だが、唯一の頭痛のタネが環境問題である。砂を運搬するトラックの通行量が増え、砂塵を巻き上げることで、呼吸器障害を引き起こす懸念があると、地域住民らと軋轢が生じている。反対活動の盛り上がり次第で、砂需要の増加にもかかわらず、事業拡大が阻まれるとの指摘が出ている。

 

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