リムマーケットニュース >  特集記事

ロシア=ポーランドに揺さぶりか? 突然のガス供給2割減量へ

2014/09/17 11:35

 ウクライナ情勢をめぐる欧米諸国とロシアとの制裁合戦が止まるところをしらない。そのなか、ロシアがエネルギー分野で反撃の狼煙を上げた。ターゲットとなったのが「ポーランド」だ。この数日間、同国に対する天然ガス供給量が日々、通常よりも2割程度減らされているという。欧州諸国のなかで、対ロシア強硬策を唱えるポーランドを牽制する意味で、制裁の一環ではないかと捉えられている。

 

 ポーランドからの報道によると、国営石油・天然ガス企業PGNiGはこのほど、ロシアからの天然ガス供給が通常に比べて減量されていることを明らかにした。ロシアからの事前通知がないまま、9月8日に20%減、9日に24%減となったそうだ。欧州は天然ガス需要量の3分の1をロシアから輸入。そのうち約半分をウクライナ経由で輸入。その他はポーランド経由のヤマル・パイプラインと、ドイツに直送するノルド・ストリームが利用されている。現時点で、減量されているのは、ヤマル・パイプラインだけとされる。そのため、ロシアがポーランドを牽制した動きとの見方が強い。ヤマル・パイプラインは、ロシアのヤマル半島からベラルーシ及びポーランドを経由してドイツに至る輸送管である。

 米エネルギー情報局(EIA)によると、ポーランドはドイツに次ぐ、欧州第2位の石炭生産国で、生産全体の2割を占めている。石炭に比べて原油や天然ガスの産出量は少なく、純輸入国となっている。ポーランドは、ロシアから世界最長のドルジバ・パイプライン(輸送能力は日量100万バレル)を経由して原油を輸入。また、国内に2つの製油所があり、精製能力は日量計49万3,000バレル。天然ガスはロシアのほか、ノルウェーとドイツから輸入している。他方、本特集記事(2014年4月18日付)で紹介したように、ポーランドはシェール推定埋蔵量が欧州一とされる。ただ、現時点で大規模な開発に至っていない。

 ポーランド国営ギャズ・システムは、天然ガス供給に対する東欧諸国からの要望が強くなったことを受けて、バルト海の港湾都市シフィノウィシチェに建設中の液化天然ガス(LNG)輸入ターミナル(基地)のLNG貯蔵能力を、年50億ドル立方メートルから75億立方メートルに増やす方向で検討に入ったという。

 ロシアからの天然ガス供給が事実上の途絶状態にあるウクライナでは「アルセニー・ヤツェニュク首相が今年の冬場に50億立方メートルの天然ガスをロシアから購入する必要があると強調した」(8月22日付のノボースチ通信)という。ロシアの天然ガスなしで冬場を乗り越えられないと危機感を募らせているようだ。今後、ロシアは、ポーランドに対する天然ガス供給の全面停止措置を講ずるのか―冬場のシーズン入りを前にウクライナだけでなく、ポーランドでも戦々恐々の日々が続く。

 

「モノ」からみる世界情勢 RISCOテキストブック

 

東京 : エネルギーデスク  阿部(直)  03-3552-2411
Copyright©2019 RIM Intelligence Co. ALL RIGHTS RESERVED.
facebook      twitter

About SSL?