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リム・QUICKセミナー=エネルギー・金融情報のタイムリーな提供に期待

2017/04/17 18:04

 リム情報開発と金融情報会社QUICK14日、「エネルギー市場と金融情報の融合」をテーマとしたセミナーを都内で開いた。石油、ガスなどのエネルギー業界、金融市場関係者ら約100人が参加。専門家による基調講演、パネルディスカッションを通じ、両分野が一段とつながりを強めることで生まれる新たなマーケットの可能性などについて考えた。

 

 第1部では、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之・主席エコノミストが基調講演。「石油・天然ガス市場における注目トピック」と題し、原油や液化天然ガス(LNG)の最近の価格動向、今後の見通しについて説明した。第2部は、野神氏に加え、SMBC日興証券の宮前耕也・日本担当シニアエコノミスト、スマートエナジーの神尾正彦・経営企画室長が登壇し、パネルディスカッションを実施。日本経済新聞の志田富雄・論説委員がモデレーターを務め、「石油業界の先行き」「エネルギー市場に流れるマネーの影響」「情報ベンダーに対する期待」といったテーマについて、各氏がそれぞれの立場から意見を伸べた。

 

 

 今回のセミナーは、リムとQUICKが昨年11月に資本提携したことを記念して開催。セミナー冒頭のあいさつで、リムの盛尚子社長は資本提携の狙いについて、「エネルギーおよび金融という2大市場の情報を扱う2社が協業し、正確な情報をわかりやすくお届けすることが目的」と説明。また、両社で今後、マーケットの指標となる指数づくりに取り組んでいくと強調した。

 

 

 野神氏の基調講演およびパネルディスカッションの要旨は以下のとおり。

 

 【基調講演】

 原油相場は2013年ころまで、需要が価格を振り回していた。非OPECの供給は伸びないと言われており、OPECの市場シェアが上がると見られていた。しかし、当初の見方を裏切る格好で、米国でシェールオイルの生産が増加するなど、13年以降は供給が価格を決めるようになった。

 2016年前半にWTI価格がバレルあたり30ドルを割り込んだが、その後のOPECによる減産合意もあって、最近は50ドルを中心とする範囲で推移している。OPEC産油国の減産順守は順調に見えるが、実際はサウジアラビアを中心とした一部の国が頑張っているのに過ぎない。

 今後、中長期的には世界的に需給は引き締まりの方向に向かうとみられるが、価格上昇とともに米国などでシェールオイルの生産が回復するとの観測がある。従って、原油相場は4060ドルといった一定の範囲内で変動するとみている。このほか、シリア問題などの地政学的リスク、OPECの減産順守状況などにも注目していかないといけない。

 天然ガス市場については、特にアジア市場では2020年過ぎまで需給緩和が続くとみている。ただし、アジアのLNG価格は原油価格連動で価格が形成されているため、天然ガス価格も上昇するだろう。

 

 【パネルディスカッション】

--原油価格について

 神尾氏

 今後、原油価格が上がっていくにしても、シェールオイルの増産もあって頭打ちになる。投資家が市場に入ってくれば別だが、100ドル以上になるのは考えにくい。

 宮前氏

 中長期的には4060ドルのレンジで推移するだろう。ただし、中東情勢とりわけイラン情勢に注目していく必要がある。(シリア空爆に見られるように)米国のトランプ新政権は、ここにきて世界の警察になるという選択をした。ただ、しばらく原油価格は一定のレンジ内の推移が続くと見る。それはシェールオイルがあるから。増産がいつまで続くかは懐疑的で、2020年くらいで伸び悩むのではないか。そうすると価格が上抜けする可能性もある。

 野神氏

 基調講演でも説明したとおり、当面は4060ドルとみている。ただ、過去の経験からOPECのシェアが50%に近づくと価格は上昇する。長期的にみてシェールが減退し、OPECのシェアが増すと価格が上昇する可能性はある。北朝鮮の動向は、原油価格の上げ下げ両方の要因となりうるが、いずれにしても乱高下する要素になるだろう。

 

 

--国内の石油元売り再編について

 神尾氏

 石油製品の需要が伸びておらず、再編は止められない。地方を中心にガソリンスタンドの数も減っており、いままでのようなビジネスでは存続が難しいだろう。

 宮前氏

 石油市場は原油価格連動なので、消費者にとっては比較的わかりやすいマーケット。一方、液化石油ガス(LPG)の業界にも問題がある。石油製品と違い、(LPG)プロパン市場は閉鎖的で価格の高止まりの要因となっている。この分野の再編もテーマになってくるだろう。

 野神氏

 石油製品の需要減退に伴い、精製能力も減少している。何かしらの手を打たないといけないのは確か。例えば石油開発、天然ガスや再生エネルギー分野に手を広げていくとか、製油所の高度化を進めて石油製品の輸出を強化するとか、トレーディングの強化など新たなオプションが必要だろう。

 

--電力・ガスの自由化、燃料となるLNGマーケットの今後について

 神尾氏

 LNGはものが余っているにも拘らず、タンクが不足しており、日本に持ち込まれる時点で価格が高くなってしまう。そこで、事業者でない人が金融市場のお金でタンクを整備し、誰でもアクセスできるようにしてはどうだろうか。アパートの大家さんのように、投資だけして運営を任せるような形でもいいだろう。そうしないとガスの価格はなかなか下がらない。併せてパイプラインの整備も必要だろう。

 宮前氏

 2011年の東日本大震災以降、特に電気代が割高になっている。再生エネルギーの買取り制度もあって、さらに割高感は進んでいくかもしれない。

 野神氏

 LNGの生産者は莫大なコストをかけている。消費国で電力・ガスの自由化が進み、コストが下がった場合、生産者に対して値下げ交渉を強めるだろう。そうすると生産者は、おっかなくてLNGプロジェクトの意思決定が保守的になりかねない。いまは需給が緩んでいるが、2020年以降急に需給引き締まり、自由化したにも拘らず、電力やガスの価格が上がりかねない。従って、プロジェクトのファイナンスをいかに進めていくかも重要になる。

 

 

--エネルギー市場に流れ込むマネーの影響について

 神尾氏

 かつて証券会社に勤務していたころ、コモディティに関する新しい金融商品を開発したことがある。当時は、「株屋がコモディティの話をしてどうするのだ」という雰囲気があり、社内でも批判された。従って会社には内緒で話を進めていた。その商品のために法律の改正が必要となり、経済産業省の担当者と社外でこっそり会うなどとても苦労した。それでも私が取り組んだのは、事業会社がスワップやデリバティブでヘッジしていたマーケットは規模が大きくなかったが、それを金融市場に持ってくれば全然お金の単位が違ってくる。新しい仕掛けをすれば流動性が高まりヘッジもしやすくなる。ちゃんとした指数、マーケットができれば資金を呼び込むことができるだろう。

 宮前氏

 例えば米国が金融緩和すれば金利が下がりドル安が進み、原油価格が上昇してきた。しかし、今度は原油価格が上がり、物価も高止まりしてきたので金融の引き締めに動いた。循環的に金融と経済が連動してくることはあるだろう。

 野神氏

 原油価格が100ドルを超えたころ、世界中の専門家が集まって、「価格に占める実需と投機の割合はどのくらいか」と議論したことがある。1日話しあっても議論は並行線だった。ただ、最初は需給によって価格が決まり、資金が入ることで振れ幅が大きくなるのは確か。

 

--情報ベンダーへの期待

 神尾氏

 マーケットを反映した情報をタイムリーに提供してもらいたい。トレーディングする人にとって使いやすいフォーマットにしたり、リスクマネジメント部門の人には、データを取り出しやすい情報に期待したい。いろいろな立場の人の意見を聞いて使いやすシステムにしてもらいたい。

 宮前氏

 ベンダーの得意分野は価格情報だと思うが、今後は金融分野でもエネルギー情報が重要になる。価格情報に加えて需要量、供給量のデータを拡充してもらいたい。さらに解説記事にもニーズがある。

 野神氏

 欧米の市場情報は良く入るのだが、日本を含むアジアの石油や天然ガスの需給情報が少ない。これからアジアで市場を発達させていくには、タイムリーにベーシックな情報が必要。それをもとに市場価格が育っていく。

 

東京 : 海外製品チーム  二川  03-3552-2411
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