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【再エネ】ノルウェー政府系ファンドが石油・ガス“上流専業”企業への投資削減

2019/03/18 10:28

 ノルウェー政府は3月初旬、政府系ファンド「ガバメント・ペンション・ファンド・グローバル」(GPFG)が“石油・天然ガス上流部門を専業とする”企業への投資を削減し、保有株式を売却すると発表した。

 ノルウェー政府は株式売却の理由について、原油・天然ガス価格下落による財務上のリスクを軽減するためとしている。GPFGの資産運用規模は1兆ドル規模とされている。一方、米エクソンモービル、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェル、英BP、仏トタルなどの上流から下流部門を統合するエネルギー企業を対象外とした。

 石油・天然ガス上流部門だけが対象となった背景には、ノルウェー国内でこれまで、議論が繰り返されてきた結果、侃々諤々(かんかんがくがく)の意見を集約し、折衷案のような形で落ち着いたとする見方が出ているという。

脱炭素化社会への舵を切った国際社会は、温室効果ガス(GHG)の削減に向けた具体的な動きが目立つ。こうした流れを受け、ノルウェーの中央銀行は2017年11月、政府系ファンドの投資先を変更するように政府に提案した。これは「化石燃料の開発に携わる投資を控えたほうがよい」という意味だった。

 その後、2018年8月、ノルウェー政府内の委員会が「石油・天然ガスの投資は必要」と答申。同国政府は着地点を探るため、半年間をかけて協議に入った。そして出されたのが、今回の結論だった。当然のことながら、当該の上流企業は承服できないとしている。今後、上流専業企業からの異議申し立てが唱えられ、訴訟に発展する可能性がある。そのため、GPFGによる対象企業の株式売却の動きは当面、先送りされる公算が大きいとの見方も広がり始めているようだ。

 他方、アイルランド議会では昨年7月、「化石燃料ダイベストメント(投資撤退)法案」が可決。法案成立で、政府系ファンドは石炭などの化石燃料にかかわる資産を5年以内にすべて売却しなくてはならない。化石燃料企業にとり、金融機関などの投資撤退は「国際社会では当たり前の時代を迎えている」(金融アナリスト)という。

 いまや、市場環境や社会環境が激変することにより、価値が大きく毀損する資産を指す「座礁資産」という言葉も世界市場では常識となっているのが実情だ。

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