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エネ研・APERC国際シンポが開催-エネルギー地政学のガバナンスで議論

2019/05/22 09:36

 国際エネルギーシンポジウム「エネルギー変革:挑戦か、好機か」(主催:日本エネルギー経済研究所=IEEJ/アジア太平洋エネルギー研究センター=APERC)が先週末、都内のホテルで開催された。このなか、「不確実な地政学情勢の下、エネルギーガバナンスは如何にして確保されるか?」のセッションで、米戦略国際問題研究所(CSIS)エネルギー・国家安全保障プログラムのサラ・レディスロー上級副理事長は「米国はこれから選挙サイクルに入る」とした上で、ドナルド・トランプ米大統領が掲げるエネルギー・ドミナンス(支配)戦略をさらに強化していくとの見立てを示した。

 また、エネルギー分野における米国とロシアとの関係について、ロシアのスコルコボ・ビジネススクール、エネルギーセンターのタチアナ・ミトロバ所長は「米ロ間の競争が始まった。エネルギーを取り巻く状況が複雑になった」と指摘。シェール革命で一大産油国に躍り出た米国の躍進によって「ロシアはグローバルなエネルギーガバナンスが機能していない」と付け加えた。

 米国による対イラン制裁強化で不透明感が増している中東情勢について、CSICのレディスロー氏はイラン核合意についてトランプ米政権は「間違った合意としているが、(米英など6カ国だけでなく)国連とも合意すべきだった」との見解を示した。他方、SIAエネルギー・インターナショナル・マネージングディレクターのファリード・モハメディ氏は「イランは現在、(ブッシュ米政権時に台頭した)ネオコンの時代に突入したと考えているのではないか」と発言。イランにとり、米国との関係が著しく悪化した、1979年2月のイラン革命時まで時計の針が後戻りしているとした。

 他方、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国の「OPECプラス」が現在、原油価格の動向に大きな影響を与える存在になっている。ミトロバ氏は「産油国のゴールでなく、収益を上げるための手段に過ぎない。(原油価格を調整する)短期的な切り札になっている」との見方を示した。

 米国のエネルギー政策によって、アジア地域が振り回されるのを回避するため、日本に求められることは何か。SIAのモハメディ氏は「米国の政策が(日本のみならず)他のアジア諸国にとり、危険であることを米国に諭すことだ」と強調。トランプ大統領は今週末に続き、6月末にもG20参加で再来日する予定だ。米国とイランとの軍事衝突が現実味を帯びるなか、安倍晋三首相は、この機会を捉え、これまでに築き上げた「ドナルド・シンゾー関係」をいまこそ危機回避に生かすべきだ。

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