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シティグループの大町氏に聞く-ESG投資の現状や慶大SFCとの提携で

2019/07/11 09:55

 シティグループは今年6月、慶應義塾大学・湘南藤沢キャンパス(SFC)と、日本国内における持続可能社会の実現に向けた取り組みで連携協力協定を締結した。SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)投資の動きが世界的な潮流になる中、リム情報開発はこのほど、シティグループ証券・資本市場統括本部の大町興二マネジング・ディレクターに慶大SFCとの提携目的や、ESG投資の現状、今後の展望について聞いた。

 

 シティグループは昨年10月、ESGカンファレンスを都内で開催した。そこに慶大SFCの蟹江憲史教授を講演者の一人として招いたことが今回の提携につながるきっかけになったそうだ。

 2018年に実施した電通の調査によると、日本国内でSDGsを認識している割合が全世代平均で16%だった。世界ではSDGsやESG投資に対する関心が高まる一方、日本ではなかなか進んでいないと指摘されるが「(カンファレンスには)機関投資家や事業法人の関係者ら100人超の参加者があり、関心が高いことを実感した」(大町氏)という。

 慶大SFCとの提携では、シティグループが世界160カ国で培ったサステナビリティ分野での知見やノウハウを大学側に提供し、投資分野における持続可能な社会の実現に向けた共同研究に役立てる。このほか、「カンファレンスやワークショップなどを通じた人材育成や教育活動に重点を置く」(大町氏)としている。

 ところで、脱炭素社会の実現に向け、欧州を中心に金融機関や投資ファンドなどが石炭火力事業会社の株式を売却する動きを加速する中、世界最大規模の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は「株式売却によって(当該企業との)対話がなくなってしまうため、産業転換を図らせることが肝要」とのスタンスだ。大町氏も「当面は石炭火力がなくなることはないだろう。石炭産業がどう変化していくかがポイントになる」と強調した。

 シティグループは2007年、グリーンボンド(環境債)の組成などを通じて10年間で500億ドルの「環境ファイナンス目標」を立てたが、13年に達成。15年にあらためて1,000億ドルを設定した。18年現在、「すでに950億ドルに達している」(大町氏)という。

 シティグループはまた、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックスの構成銘柄に18年連続で選定されるほか、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき、気候関連情報の開示を他社に先駆けて開始している。

 前述の電通調査では、SDGsやESG投資に対する関心は高齢層に比べ、若年層のほうが高いことが判明した。大町氏は「ミレニアル世代(2000年代に成人あるいは社会人になる世代)は経済リターン、社会的リターンを求める志向が強い。ESG投資の普及は今後、加速するだろう」との見通しを示した。

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