電力=3月16~20日:需要低迷のなか小反発、供給力低下
卸電力市場は東日本、西日本がそろって反発した。Rim Indexスポット(翌日物取引)価格の24時間・中心値は、前週の平日(3月16~20日:20日は祝日)の平均でみると、前の週(3月9~13日)と比べ東日本が1kWh当たり(以下同)0.78円高(10.5%上昇)の8.18円、西日本が0.47円高(9.0%上昇)の5.69円だった。気温が平年を著しく上回る日もあり、需要は一段と低迷。ただ、発電設備の点検停止が増え、供給力の低下が相場を押し上げたとみられる。東日本と西日本の中心値の格差は2.49円と、前の週の2.18円から広がった。
発電設備の点検停止が、東日本、西日本ともに増えた。火力の場合、前の週の金曜日である13日と前週の月曜である16日を単純に比較すると、差し引きで東日本が約210万kW、西日本が約370万kWの供給力低下となった。西日本では16日、川内原子力発電所1号機(定格出力89万kW、加圧水型、鹿児島県薩摩川内市)も定期点検のため停止。17日には、中部エリアで出力100万kWの石炭火力の不具合のため停止したほか、計画停止も比較的まとまった規模で実施された。18日と19日も2基ずつ停止予定があった。一方、広範囲で天気には比較的恵まれ、太陽光発電からの供給が高水準で推移したとみられる。半面、気温は高く、暖房の必要性が低下。気象庁の1日前の予報で、19日は東京、大阪、名古屋、福岡などで予想最高気温が20度以上の水準だった。
日本卸電力取引所(JEPX)の1日前市場では、日本で最も市場規模が大きい東京エリアの平日平均が前の週と比べ0.71円高の8.01円。冬季を中心に価格が上振れしやすい北海道エリアは、同1.17円高の10.50円だった。両エリアの価格差は2.49円と、前の週の2.03円から広がった。 西日本の最大市場である関西エリアの平日平均は、前の週と比べ0.95円高の6.30円。価格が他地域と比べ下振れすることの多い九州エリアは、同0.80円高の5.44円だった。両エリア間の価格差は0.86円と、前の週の0.71円からわずかに広がった。 東京と北海道、関西では、いずれも夜間価格の上昇が目立った。火力発電停止の影響がうかがわれる値動き。半面、同3エリアのピーク時は弱含んだ。太陽光発電と高い気温のため、火力減少の効果が及びにくかったと考えられる。他方、九州では、中心都市である福岡の予想最低気温が他の主要都市よりも高い水準で推移。夜間の需要不振が極まり、他地域に比べ、夜間価格の上値が重くなった部分がありそう。九州のピーク時は強含んだ。再生可能エネルギーの出力抑制が効いた可能性がある。
JEPXのスポット取引(1日前市場)では、3月17日から19日受渡のシステムプライス・24時間の平均が、前の週と比較して0.55円高(9.0%上昇)の6.66円だった。同期間の1日平均の約定量は約8億3,600万kWと前の週から900万kW(1.1%)減少した。
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