電力=1月11~15日: 一段と高騰、「勝者の呪い」まん延
卸電力市場は暴騰した。Rim Indexスポット(翌日物取引)価格の24時間・中心値は、前週の平日(1月11~15日受渡:11日は祝日)の平均でみると、前の週と比べ、東日本が1kWh当たり(以下同)69.75円高(90.3%上昇)の147.02円、西日本が57.90円高(80.7%上昇)の129.64円。昨年暮れから強まった液化天然ガス(LNG)火力の燃料不足の影響が極まった。市場に供給される不十分な電力をめぐり、買い手が先を争って確保に向かい、価格が加速度的に上昇。買い手が、一種の「勝者の呪い」を強要されるような状態が続いた。東日本と西日本の平均の格差は東高西低の17.38円と、同じく東高西低の5.38円だった前の週から大幅に拡大。
インバランス料金の支払いを回避しようとする買い手の動きが、相場の高騰を招いた。年末からの相場の上昇傾向が年明け後も収まらないことを受けて、買い手の間では、計画と比べて電力が不足した場合の調整料金が、市場価格をさらに上回る異常に高い水準となることが意識された。相場高騰で日本卸電力取引所(JEPX)の取引参加に必要な預託金も跳ね上がるなか、取引を継続できた買い手が、相場を極端に吊り上げてしまった格好。インバランス料金を支払うよりは、市場で調達する方が「低い水準」で済むという思惑があるものの、落札できても、これまでに経験したことのない高値水準での調達を余儀なくされた。JEPX取引の東京と東北、北海道の3エリアでは、15日受渡の16時30分から17時の時間帯(コマ)に252.00円を付け、史上最高値を更新。西日本の6エリアでも15日受渡の17時から17時30分に付けた高値が242.21円に達した。
JEPXの翌日受取市場では、最も市場規模の大きい東京エリアの平均が147.02円と、前の週と比べ69.72円高。気候条件の違いや本州との連系線の制約により独自の動きになりやすい北海道エリアは、同66.90円の上昇で東京を上回る147.11円。北海道の価格は前の週、東京と比べ0.09円安かったが、前週は0.09円高となった。東北エリアは前週、東京より0.05円安い146.97円。時間帯別でみると、3エリアとも、昼間主導の値上がり。 西日本の最大市場である関西エリアの平均は130.80円と、前の週と比べ59.05円の値上がり。価格が他地域と比べ割安水準で推移することの多い九州エリアは、同58.02円上昇の129.74円。両域の価格差は1.06円で、前の週の0.03円から広がった。時間帯別にみると、東日本と同様に、昼間主導の上昇だった。
JEPXのスポット取引は12日受渡から15日受渡の4日間で、システムプライス・24時間の平均が、前の週と比較して63.92円高(84.1%上昇)の139.93円だった。同期間の1日平均の約定量は約8億7,500万kWhと、8億8,000万kWhだった前の週とほぼ同水準。
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