アジア石油製品=6月13~17日:軽油が軟調、フレートの高止まりが相場を下押し
ガソリン 韓国積みガソリン(MR船型)の市況連動相場は下落した。フレート高が相場を下押した。シンガポールと韓国間でMR船型の運賃はバレルあたり5.00ドルを超える水準で推移している。また、シンガポール先物市場で、7月と8月限の月間価格差は5.00ドル台前半の期先安に推移していることも、トレーダーなどの買い気を削いでいる。韓国では、先週から一部の石油会社が7月積みの販売に着手している。 韓国積み91RONガソリン(SR船型)の市況連動相場は軟化した。主要な仕向け先である日本からの買いが力強さを欠いている。日本国内では供給が引き締まっているものの、輸入採算が合わないため、日本商社などは買値を抑えている。既報のとおり、仙台製油所(日量14万5,000バレル)のトラブルを抱えているENEOSは国内での調達が難しく、輸入品を物色している。日本では補助金のため市況が抑えられている一方、海外市況高やフレート高が重なり、輸入採算が合わない。
ナフサ 北東アジアのスポット市場では、ナフサのグレードによって価格差が拡大傾向にある。昭和電工は、入札を通じて7月後半着オープンスペック・ナフサを日本市況に対し6~9ドルのディスカウントで購入したもよう。入札には10社以上の売り手が参加。当初の見通しより割安なオファーが散見され、成約水準が切り下がったと伝えられている。荷余り感も強い。一方、韓国のGSカルテックスは、7月後半着ヘビーフルレンジナフサを日本市況に対し16~18ドルのプレミアムで買い付けていたようだ。北東アジアの市場関係者によると、低調なオレフィン市況を受けてオープンスペック品やライト品の市況は日本市況に対しディスカウント圏に下落している一方、堅調なガソリン市況を背景として、基材となるヘビーフルレンジナフサの市況は強含んでいるという。
中間留分 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は下落。フレートの高止まりを背景にFOBベースのプレミアムは切り下がっている。また、シンガポール先物市場がバックワーデーションを形成しているため、先安観も相場の押し下げ要因となった。日本勢ではコスモ石油が販売に動いた。日本勢では他にもENEOSや出光興産が売り物を有している。韓国の石油会社も7月積みの販売を進めていた。 北東アジア積み0.05%S軽油(MR船型)の市況連動相場は軟調。ベトナムなど東南アジア向けの買い気が低調だ。また、中国沿岸部では夏季の禁漁期間中のため、漁船向けの引き合いも限定されている。需要の低迷を背景に相場の上値は重い。
重油 韓国積み0.3%S重油(MR船型)の市況連動相場はもち合い。ただし、需給緩和観測が台頭している。韓国では、製油所の定修期明けによって供給余力が回復しつつある。一方、同国や日本ではこのところ雨が多く、気温も下がっている。このため電力需要がみえづらくなっている。また、日本では今後、政府が夏場の電力使用制限を要請する見通し。さらに発電用の液化天然ガス(LNG)価格が落ち着いてきていることから、代替として発電用重油の需要はみられない可能性があるという。一方、台湾でも、製油所が精製マージンのより良い中間留分の生産を優先しており、台湾中油(CPC)は低硫黄重油の販売入札をいまのところ計画していない。
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