アジア石油製品=9月23~27日:高硫黄軽油は急騰、需給引き締まり感強く
ガソリン 強材料が重なり、相場は急騰 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は軒並み上昇した。供給引き締まり観測を受けた。中国から10月積みのスポット販売が活発している。ただ、10月上旬に中国では国慶節の大型連休を控えていることから、内需が増える公算が大きく、10月の輸出量も引き続き少ないとの見通しが強まっている。また、韓国では10月末に油類税の軽減措置が解除される見通しであるうえ、精製マージンの悪化などから大方の石油会社が10月積みのスポット販売を見送っている。 装置面では、台湾の製油所で残渣油流動接触分解装置(RFCC)のトラブルが相次いでいる。フォルモサ石油化学(FPCC)の麦寮製油所(日量54万バレル)で、残渣油流動接触分解装置(日量7万6,000バレル)が稼働を停止し、10月中旬にも再稼働を予定している。また、台湾中油(CPC)の大林製油所(日量35万バレル)で7月下旬に残渣油流動接触分解装置(日量8万バレル)が稼働を停止し、再稼働が再び10月3日に延期された。
ナフサ 相場下落、韓国着品がディスカウントで売買 11月前半日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は弱含み。需給の緩みを反映した。ガソリンの需要期が過ぎ、基材としてのナフサ消費が減退。米国から重質ナフサのアーブ玉がアジアへ流入してきている。これを受け、これまでガソリンの生産に仕向けられていたフルレンジ・ナフサが石化用に流れている可能性が指摘された。加えて、ガソリンブレンディング用として使用されていた軽質ナフサも余剰となっていると伝えられた。 韓国の石化1社は26日締めの入札で、11月前後半着ナフサをCFRベースで同市況に対し、50セントのディスカウントで購入した。 韓国のGSカルテックスは25日、エチレン設備(年産70万トン)の定期修理を開始した。期間は11月29日までの予定。今回の定修期間中に増強工事を実施し生産能力を年産90万トンに引き上げる。台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)は26日、第1エチレン設備(年産70万トン)の再稼働を始めた。同設備は5月22日から停止していた。今後は第3エチレン設備(同120万トン)との2基体制となる見込み。一方で、第2エチレン設備(同103万5,000トン)は稼働を停止中。
中間留分 プルタミナ、高硫黄軽油の買い気旺盛 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は軟化。中国からの販売が増加するとの見通しが相場の重石となった。中国で2024年3回目の輸出割当量が先週、通達された。これを受け市場関係者は、中国積みの販売が増加すると見込まれることが一因と指摘した。10月下旬韓国積み品がFOBベースでシンガポール市況に対し、1.20ドルのディスカウントで売買された。 伊藤忠商事はフィンランドのネステ、韓国のGSカルテックスと協業し成田国際空港において「CORSIA」に適合する燃料の供給を開始する。これまで伊藤忠商事はネステのフィンランドもしくはシンガポールの製油所積みで混合SAFを調達し日本の富士石油袖ヶ浦製油所などの輸入基地に搬入。その後内航船で空港施設まで燃料を運んできた。新しい供給フローではネステのシンガポール製油所において生産されたニートSAFをGSカルテックスのヨウス製油所でジェット燃料と混合、その後混合SAFを成田空港施設に荷揚げしパイプラインを通じて航空機に直接給油する。 北東アジア積み0.05%S軽油(MR船型)の市況連動相場は急上昇。韓国ではGSカルテックスが26日締めの入札を通して10月26~30日積みのMR船型1カーゴを販売した。価格はFOBベースでシンガポール市況対比1.70~1.80ドルのディスカウントだった。買い手は明らかではない。韓国からこのほかに0.05%S軽油の売り気は見られず。台湾勢も製油所の装置不調、定期修理などを背景に軽油の販売を見合わせていた。 売り物が限られるなか、東南アジアから強い引き合いが浮上。インドネシア国営プルタミナは9月末~10月前半着として0.25%S軽油を買い進めている。また、0.005%S軽油でも10月下旬着品に買い気を示している。市場関係者によると、同社はバリクパパン製油所(日量36万バレル)において二次装置の不調を抱えているようだ。
重油 中国の需要減の観測 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は2週続伸。引き続きアジア域内の供給引き締まり感が強まっている。ただし、週の後半にかけて、アジア域内の供給増加観測を受けて相場の基調が弱含みに転じた。 市場関係者によると、10月以降の中国の重油輸入が大幅に低下する可能性がある。政府が重油輸入に課している税金の還付措置を撤廃あるいは縮小するとの情報が流れており、特に独立系製油所が輸入量を大きく減らすと見られているためだ。この場合、引き取り手のなくなった重油が市場であふれるとの見方が出ている。
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