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第2回 ~どうして電気料金が値上がりするの?の巻~(2012年12月14日)

2013年4月に、関西電力と九州電力が電気料金を値上げするわね。

すでに東京電力は2012年9月に値上げしているし、四国電力も来年、春ごろに値上げする予定だよ。

でも、何で値上げしなきゃならないの?

一番の理由は、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故の影響で、電力各社が原発を動かすことができなくて、割高な火力発電を増やしていることなんだ。

火力発電って、そんなにお金がかかるの?

ちょっと古いデータだけど、資源エネルギー庁の「総合資源エネルギー調査会」が、2011年3月時点の発電コストを試算している。

やっぱり火力は高いの?

この資料では、1キロワット時当たりの発電コストを出しているんだけど、原子力が5~6円、石油火力が14~17円、LNG火力が6~7円、石炭火力が5~7円と試算されている。

一番、割安な石炭火力でも、原子力よりちょっと高いのね。

そうだね。それにこの資料は、東日本大震災直前の2011年3月のデータを基に計算されているんだ。地震の後に、燃料価格が急騰したから、火力発電のコストは、今はもっと高いはずだよ。

実際、燃料価格って、どのくらい上がっているの?

例えばLNG(液化天然ガス)のスポット価格は、震災前と比べて1.5倍くらいになっているんだ。スポット価格っていうのは、長期契約ではなくて、一回の取引ごとに支払う価格のことだよ。LNGはMMBtu(百万英国熱量単位)という熱量を基に、売買されるんだけど、2010年3月末に11.45ドルだったのが、2011年3月末には16.15ドルまで上がっているんだ。原発を止めている分、電力会社はLNG火力発電の稼働を上げているから、高いLNGをますますたくさん買わなければならなくなっているんだよ。

だから、電気料金を値上げしないと、電力会社も経営ができなくなるのね。でも燃料ってドルで買うのね。

そうなんだ。LNGは世界中で取引されているから、ドルで取引するんだ。今は円高だからいいけど、円安になったら、燃料費がもっと上がってしまう。

そしたら電気料金がまた上がるのね。

そのとおり。それに火力発電は二酸化炭素(CO2)の排出量も多いから、地球温暖化の問題を考えたら、このまま原発を止めておいていいのかという別の問題もでてくる。

でも地震の後の、原発事故の影響で、今も家に帰れない人もいるわよね。

そうだよね。でも石油やガスの火力発電所でも、絶対に事故が起こらないわけじゃない。

確かにそうね。

だから僕たちは、高い電気料金を払ってもいいから原発をなくすのか、原発の事故と地球温暖化の問題にどう取り組んでいくのかなど、いろいろ考えなければならないことがあるんだよ。

そうね。このまま電気料金が上がり続けたら、景気も悪くなるわよね。

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(文:LNGチーム深水)
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