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第3回 ~天然ガスは何に使われているの?の巻~(2012年12月21日)

前回は関西電力や九州電力が電気料金の値上げを政府に申請しているって話をしたね。

うん。昨年の東日本大震災後、日本にある原発のほとんどが止まったから、火力発電への依存度が高くなっているのよね。天然資源が乏しい日本は電気を作るために発電用の燃料を大量に外国から買わないといけないから、その輸入コストで電力会社の経営が苦しくなっているって話したわよね。

そうなんだ。全国の電力会社でつくる電気事業連合会が14日発表した11月の発受電電力量(速報、10社合計)をみると、火力発電量は530億4,358万キロワット時になったんだけど、実はこれって前年の同じ月と比べ7.6%も増えているよ。火力発電に使われるのが石油、石炭やLNG。なかでもLNGは石炭や石油に比べて二酸化炭素(CO2)の排出が少ない「クリーン」なエネルギーとして注目を集めている。ちなみに、天然ガスは燃やしたときのCO2の排出量が、石油に比べて25%程度、石炭に比べて40%程度少ないから化石燃料の中では環境に優しいんだよ。そしてLNGはその天然ガスを液化したものなんだ。

液化したものってなに?

液化とは「物質が気体から液体に変化する現象のこと」を言うんだけど、天然ガスはメタンを主成分とする気体なんだ。これをマイナス160度程度まで冷却し、液化したものがLNG=Liquefied Natural Gasだ。液化すると体積が小さくなって、たっくさんの量を一度に運べるようになるんだよ。

天然ガスはどこで産出されるの?世界的に埋蔵量はどのくらいなの??

中東諸国のほか、インドネシア、そしてトリニダード・トバコといった中南米の国でも生産されているんだ。BP統計による2010年1月時点で確認された世界の天然ガス埋蔵量は、シェールガスを除いて6,609兆立方フィート(187兆立方メートル)。これに対して消費は2011年で114兆立方フィート(3兆2,000億立方メートル)だったんだ。
ここから計算すると現在の埋蔵量で世界の約58年分の需要が賄えるんだけど、いま話題の「シェールガス」とかこれまでになかったガスの生産方法が生み出されているから、まだまだ埋蔵量は伸びるかもしれない。

日本の状況ってどうなのかしら?

日本の2011年の消費量はおよそ3.7兆立方フィート(1,047億立方メートル)と、世界の消費量の3%を占めていて、主に発電に使われているよ。 けれど、発電以外にも産業用やバス・タクシーなどの輸送車でも活躍してる。国際エネルギー機関(IEA)が2010年発表した「世界の天然ガス消費の用途内訳」(右グラフ)を見てごらん。もちろん、国によって用途別の消費割合は違ってくるんだ。日本ではおよそ60%が発電、残り40%が都市ガス向けなんだけど、たとえば台湾では80%が発電に占められているんだ。

天然ガスって生活に合わせていろいろな場面で活躍しているのね。

でも、LNGにはますます頑張ってもらわないといけないんだ。

え、それってどういうこと?

横浜市の「扇島パワーステーション3号機」や北海道小樽市の「石狩湾新港発電所」など、新しいLNG火力発電所がこれから建設を予定されている。みんなLNGの力に期待しているんだ。おっと、忘れちゃいけない。沖縄の吉の浦火力発電所2号機はすでに建設が終わって、あとは本格的な運転を待つばかりだ。

勉強になったわ。天然ガスって私たちの生活に欠かせないものなのね。

そうだよ。ただ、天然ガスも石油や石炭と同じで限りある資源。生活するのに必要だからと言って、無駄使いはいけない。限りあるものだからこそ、大切に使いたいね。

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メール rimzo@rim-intelligence.co.jp
(文:LNGチーム大野)
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