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第5回 ~環境のための増税!?環境税とは?の巻~(2013年1月11日)

明けましておめでとうリミー!今年も一年よろしくね。

おめでとう、お兄ちゃん。今年もよろしくお願いします。お兄ちゃんはお正月、北海道旅行に行っていたんだよね?

今年の正月は例年以上に気温が低くて大雪になった地域が多かったから、大変だったよ。三が日を過ぎても大雪は続いていたから、除雪が追いつかなくて飛行機もJRもほとんどの便が運休になってしまってね。帰ってくるのに苦労したよ。

そうだったの。大変だったわね。

うん。でも、こうした雪の多い地域で日々暮らしている人達はもっと苦労しているだろうね。

そうよね。日常生活に支障をきたしてしまうこともそうだけど、暖房用の電気や灯油代、大切な移動手段である自動車のガソリン代が家計に占める割合は、関東などの他の地域よりも高そうよね。

そうだね。それに、「地球温暖化対策税(環境税)」が昨年の10月に導入されているから、さらに負担は大きくなるよね。

えっ、環境税って何?

地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出を減らすことを目的に、石油などの化石燃料に対して課す税金のことだよ。原油や石炭だけじゃなく、石油製品やさっきも話に出たLNGや液化石油ガス(LPG)も対象となっているんだ。

一体誰が払っているの?

国内産であれば採掘した業者、輸入の場合は輸入業者が納税義務者として国に納めているよ。だけど、業者はその分を電気やガス料金に転嫁するから、最終的に負担するのは僕たち消費者ということになるね。

そうなの。一体、どういう仕組みになっているの?

すでに日本には「石油石炭税」という化石燃料に対して課される税金があったんだけど、これに今回の環境税が上乗せされることになったんだ。具体的には、これまでの石油石炭税では、原油や輸入した石油製品であれば1キロリットル当たり2,040円が課税されていたんだけど、環境税導入後の2012年10月1日から1キロリットル当たり250円が上乗せされている。上乗せ分は今後、2014年4月1日に500円、2016年4月1日には760円と、段階的に引き上げられていく予定なんだ。

まあ!今後もさらに値上がりする可能性があるのね。そういえば、第2回で電気料金が値上がりする理由について、「原発の稼動停止によって割高な火力発電の稼動を上げているから」だと学んだけれど、こうした増税も原因の一つなのね。

そうだね。ただ企業としては、コスト削減などの努力はしているし、特にガソリンなどは価格競争が激しいからすぐに料金に転嫁することは難しいかもしれないね。

でも、環境税による値上がりは確かに家計や企業活動の負担にはなるけれど、温暖化対策としては効果的なのよね?

うん。環境への意識が高い欧州ではすでに環境税を導入している国がいくつかあって、スウェーデンやオランダ、ドイツ、イギリスなどがそうだね。いずれの国も、環境税を実施したことで温室効果ガスの排出量削減に効果があったと報告しているんだ。課税方法も、日本のように化石燃料に課税することが一般的だね。他には、課税するだけじゃなく、90年代から様々な施策に取り組んでいるスウェーデンのように、再生可能エネルギーの利用者に対して税金の減免や還付などを行うことで環境対策としている例もあるんだ。

そうよね。温暖化対策と言っても、化石燃料に課税する以外にも効果的な方法は色々あるわよね。それに、集めた税収を環境対策の費用として使うこともできるわよね。

よく気づいたね。そうなんだ。環境税のもう一つの利点は、集めた税収でさらなる環境対策へとつなげられることなんだ。それに、ドイツでは環境税の1割は環境対策費用として使われているけど、 9割は雇用にかかる人件費抑制に充てているんだ。具体的には、社会保険料の縮減に使われていて、環境税はこうした雇用環境改善・失業率抑制のためにも使われているんだ。

なるほど。環境だけじゃなく、私達の社会にも役に立つわけね。

日本では、今のところ環境税による税収は太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及や、省エネ対策の費用に充てられるよ。

日本では、ほとんどの原発が停止している分、化石燃料の輸入がどんどん増えていくから、環境税による税収は増えていくわね。政府には、こうした税収を社会に還元できるよう有効に使ってもらわなくちゃね!

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メール rimzo@rim-intelligence.co.jp
(文:石油化学チーム 川田)
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