第8回 ~シェールガスって何?の巻~(2013年2月1日)
日本の貿易赤字が増えてるわね。液化天然ガス(LNG)の輸入が増えていることが、主な要因なんでしょ。
そうだね。東日本大震災のあと、日本では原発がしばらく停止したままだから、発電用として他の燃料が必要になっているんだ。LNGも需要が高いから、売値も下がらないんだ。でもね、世界中で天然ガスがこんなに高いわけじゃないんだよ。
え、そうなの?
うん。アメリカ・ルイジアナ州のヘンリーハブというところで引き渡される天然ガスは、百万Btu(英国熱量単位)あたり、3ドルくらいで取引されているよ。いま日本がLNGを輸入するとしたら、19ドルくらいかかってしまう。ヘンリーハブのガスはパイプラインを通る気体の天然ガス。日本が輸入するのは一旦、液化された天然ガスで、コストが余計にかかるから、単純に比較はできないんだけどね。
それにしても、日本の方が6倍もするって、高すぎない?何で、アメリカでは天然ガスが安いの?
一番の要因は、シェールガスのおかげなんだ。
シェールガス?
そう、地中の頁岩(シェール)に含まれている天然ガスのことだよ。これまでのガス田とは違う地層からでてくるから、非在来型ガスに区分けされているんだ。
シェールガスって、最近見つかったの?
存在自体は昔から知られていたんだけど、在来型のガス田とは違う方法で取り出すから、採掘コストが高くて、利用されていなかったんだ。
どんな方法で取り出すの?
水圧破砕法と呼ばれる方法で取り出すんだ。頁岩層まで掘り進めて、そこで水圧をかけて割れ目を作り、ガスを取り出すんだ。シェールガスは在来型のガスと違って、掘ったら噴き出してくるわけでないから、取り出すのが難しかったんだ。でも2000年代に技術革新があって、大量に生産できるようになったんだよ。頁岩層まで水平に掘り進める水平掘削といった方法も取られているよ。
これがよく聞くシェールガス革命なのね。
そうだよ。今のところ生産が進んでいるのは、アメリカが中心だけど、ヨーロッパや中国にもシェールガスが存在するんだ。
シェールガス革命でどんなことがおこったの?
アメリカでは、国内でシェールガスがでてくるようになったから、天然ガスの価格がかなり安くなったんだ。
それで、ヘンリーハブの天然ガスが3ドルくらいで取引されているのね。日本でも、シェールガスがでてくれば、高いLNGを買わなくてすむのになあ。
そうだね。残念ながら、専門家の調査では、日本にはシェールガスがほとんど存在しないと言われているんだ。
ふうん。でもヨーロッパではシェールガスを取り出さないの?
生産しようという動きはあるんだよ。例えばポーランドは、今はロシアからたくさんの天然ガスを買っているんだけど、国内でシェールガスを生産して、ロシアに頼る部分を減らしたいと思っているんだ。
世界のガスの動きを変えてしまうなんて、本当に「革命」なのね。でもどうして、ヨーロッパでは、シェールガス革命の動きが遅いの?アメリカとヨーロッパなら、そんなに技術力も変わらないと思うけど。
実は、シェールガスを取り出すときに使う水には、少量の化学物質を混ぜるんだ。これが、環境に悪影響をおよぼすと言われていて、フランスなどでは、シェールガスの採掘を規制する動きもあるんだ。
ヨーロッパは環境に対する意識が高いのね。
そうだね。地球の資源を使うときに、環境に影響をあたえるのは避けられないことだけど、どこまで環境への負荷を認めるかが問題だよね。
日本でシェールガスが見つかっていないのは残念だけど、シェールガス革命で、少しでもLNGの値段も安くなるといいわね。
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