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第15回 ~原油は甘い?酸っぱい?の巻~(2013年3月22日)

ねえ、リミー。原油には味があるって聞いたぞ。甘いのとか、酸っぱいのとかがあるらしいよ。

はは~、お兄ちゃん、それは「スイート原油」とか「サワー原油」のことね?

なんだ、知ってたのか。でも、甘いとか酸っぱいって、いったいどういうことなんだい?

スイートとサワーの違いは、簡単に言うと原油に含まれている硫黄分や硫化水素の差なのよ。硫黄分が低い方をスイート原油って呼んでいるのね。スイート原油は、実際に甘い匂いがするっていう話しもあるわ。

そうか、甘いとか酸っぱいの差は、硫黄分なんかの違いなんだな。スイートっていうくらいだから、てっきり砂糖でも入っているのかと思ったよ。でも、産油国ならどこでも、甘いのや酸っぱいのが両方とも採れるの?

日本が輸入する原油の大部分は中東の国々から来るのは知っているわよね?サウジアラビアとかアラブ首長国連邦(UAE)とか。原油にはそれぞれ、「アラビアンライト」とか「ドバイ」とか名前がついているんだけど、そうした中東産の大部分はサワー原油よ。一方、スイート原油の代表格は米国で採れるWTI(ウエスト・テキサス・インターメディエート)かしら。お兄ちゃんもニュースなんかで名前を聞いたことがあるでしょ?この原油は米国内でしか流通していないのに、先物市場で取引されていて、世界の原油の値段を決める際に基準になっているの。

成分の違いとか、採れる場所とかはよくわかったよ。でも、その違いにはどんな意味があるんだい?

スイート原油には、環境に悪影響を与える硫黄分が少ないでしょ。だから、石油会社が取り除く手間を省くことができるのね。その分、高い値段で取引されることになるわ。スイート原油の中には、インドネシア産の「スマトラ・ライト」のように、硫黄分が低いのに、ガソリンや軽油がそれほど採れない原油もあるの。その場合、発電用にそのまま燃やしたりすることもあるわ。

いろいろ聞いていると、スイート原油の方が使い勝手が良さそうだな。だったら日本はスイート原油をたくさん買えばいいんじゃないの?

そうしたいところだけど、そう簡単じゃないの。一説によると、世界で採れる原油のうち、スイート原油は半分に満たないというわ。実際の割合は定かではないけれど、少ないことは間違いないようね。だから、基本的にスイート原油はサワー原油に比べて割高なのよ。

日本は中東の国々から、安くて酸っぱいのをたくさん輸入しているんだろ?日本は環境問題に厳しいから、硫黄分を取り除くのに苦労しているんだろうね。

いい質問ね。でも大丈夫。硫黄分を取り除く脱硫装置とかでしっかり対策を取っているわ。ちなみに、脱硫装置のほかに、重油からガソリンや軽油を作り出すことができるさまざまな装置などのことを、2次装置って呼ぶの。

他の国も、日本と同じように中東からたくさんの原油を買っているよね。ということは、2次装置を充実させないといけないよね。

海外では、スイートとサワーの違いで苦労してきた国もあるのよ。たとえば中国。もともと、中国の国産品はスイート原油が多かったから、石油会社も以前はそれほど2次装置を充実させていなかったのね。だけれど、最近の経済発展で中国も中東の国々から、安く、たくさんの原油を輸入するようになったでしょ。これまでの製油所では原油を処理して、必要なガソリンや軽油を作れなくなってきたの。また中国でも環境問題が深刻になっているから、これまでのようにサワー原油を大量に処理できなくなっているようよ。だから、新しい製油所を作ったり、既存製油所の2次装置を充実させる必要が出ているのね。

一口に原油と言っても、いろいろな種類があって、用途もさまざまなんだね。勉強になったな。勉強していたら小腹が空いてきたぞ。甘酸っぱいケーキでも食べることにしよう!

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(文:海外製品チーム 二川)
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