第20回 ~どうして、南米のLNG市場が注目されるの?の巻~(2013年4月26日)
1月~3月の、ブラジル鉱山エネルギー省のLNG輸入量の統計が出てたけど、去年に比べて、すごく増えてたわね。
そうだね。2012年は1月から4月の間に6カーゴを輸入してたけど、今年は同じ期間に13カーゴを受入れているよね。単純に言って、2倍以上だね。
でもLNGって、港があればどこでも受け入れられる訳じゃないんでしょう。
そうだね。地中から出てきたガスを冷やして液体にして運んで、さらに受入基地で気体に戻すから、港にもかなり大掛かりな装置が必要になるんだ。
ブラジル以外だと、どこの国がLNGを買っているの?
むかしからLNGを輸入しているのは、日本や韓国などの北東アジア、イギリスやフランスなどのヨーロッパ、アメリカやカナダといった北米といった地域だね。最近はインドやタイなんかも、LNGを買っているんだ。そしてリミーが見つけた、ブラジルなどの南米だね。南米のLNG市場は、最近、注目を集めているんだ。
ブラジルみたいに去年に比べて、2倍以上LNGを買ってたら、みんな注目するわね。経済規模は日本やイギリスのほうが大きいと思うけど、どうして南米の市場が注目されるの?
たしかに、ブラジルの2012年の1年間の輸入量は238万トンで、日本の8,766万トンと比べると、30分の1以下なんだ。でも必要なときにその都度、購入するスポット契約だけをみれば、状況はちょっと違うんだ。例えば今年の1月~4月の間に、ブラジルには13カーゴをスポット契約で受け入れたけど、日本は同じ期間にスポットで38カーゴを受入れているんだ。それでも日本の方が多いけど、輸入量全体を見た時みたいな大きな差はないよね。
スポット契約だと、注目されるの?
そうだね。LNGは10年や20年といった、長期契約で売買されるものがほとんどなんだけど、こういう契約は取引価格もあらかじめ決まっていて、特に目新しさはないんだ。でもスポット契約は、そのときの需給を反映して価格が決まるから、今の市場動向を見るうえで、関心が集まりやすいんだよ。
日本の方が、スポットカーゴをたくさん買ってるのに。それでも南米の方に注目が集まるの?
確かに数量を見れば、日本の方がたくさんスポットカーゴを買っているよね。でも、南米が注目を集めるのは、特徴のある買い方をするからなんだ。
何か目立つことやってるの?
例えばブラジルは、2012年のクリスマスのあとに、まとめ買いをしていたんだ。ブラジルは長期契約がないから、すべてスポット契約でね。さらに一般的にLNGは、暖房のガス用や、冷房の電力用としての需要が多いから、気温の変動に注目が集まるんだけど、でもブラジルは違う。
どう違うの?
ブラジルが今年に入って、たくさんLNGを買ってるのは、雨が少ないからなんだ。水力の発電量が少ないから、その分のガスの火力発電で補っているんだよ。そういう意味でも、ちょっと他とは違った市場で、注目を集めやすいんだよね。
じゃあアルゼンチンはどうなの?
アルゼンチンも、結構目立った買い方をするんだ。毎年、年末に、翌年の分のカーゴをまとめて、スポット契約で購入するんだけど、入札を開いて買うからみんなの注目が集まりやすいんだよ。
だから、アルゼンチンもブラジルも、買ってる数量の割に、注目を集めるのね。日本だってこんなにたくさん買ってるのに、あまり話題にならないの?
そうだね。日本も、2011年の震災後は、原発が次々に停止したから、代わりの火力発電用に、たくさんスポットカーゴを買ったんだ。相場も上がってしまったけど、日本の電力会社の動きに、世界中の注目が集まったんだ。でも今は、必要なときに、ぽつりぽつりと買っていくから、そういう意味ではあまり目立たないかもしれないねえ。
目立てばいいってもんじゃないけど、やっぱりあんまり注目されないのって寂しいかも。
目立つより、安く買えるほうが大事なんじゃ・・・
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