第21回 ~日韓石油会社の愛が深まる?の巻~(2013年5月10日)
コスモ石油が、韓国の石油会社と緊急時の協力体制を強化するっていう話しを聞いたぞ。
お兄ちゃん、さすがにニュースが早いわね。コスモ石油と韓国の現代石油(ヒュンダイ・オイルバンク)が5月9日に覚書を交わしたばかりね。自然災害などでどちらかの会社の製油所に被害が出たときなんかに、ガソリンや灯油といった石油製品を融通し合ったりするそうよ。
なるほど~。コスモ石油といえば、2011年3月11日の東日本大震災で千葉製油所のLPガスタンクが爆発し、その後、1年間、同製油所の稼働が止まっていたよね。
震災から1年後の12年3月に一部が再開したんだけど、アスファルトがあふれ出す事故があって、6月にまた止まっちゃったのね。そして、ようやく13年1月から稼働を再開しているわ。
製油所が動かなくなると、ガソリンや灯油なんかを作れなくなるわけだろ。こうした石油製品は私たちの生活に欠かせないものだから、僕たちにとっても大きな問題だよね。
石油会社にとって、「安定供給」は何よりも優先すべきことなのよ。私たちが当たり前のように使っているガソリンとか灯油が手に入らなければ、本当に困るものね。だから、自分たちで石油製品を作れなくなった場合、国内の別の石油会社から買ったり、海外から輸入したりして、消費者が不便にならないように努力しているのよ。
確かに、冬場に灯油が買えなくなったら凍えちゃうな。
灯油だけじゃないわよね。最近はオール電化の家も増えているけれど、電力会社は発電用の重油を石油会社から買っているものね。大震災後、日本では原子力発電所を使用することが困難になっているから、電力会社は火力発電所をフル稼働させているわ。重油は火力発電所の重要な燃料の一つだから、それこそ在庫が尽きないように確保するのは大変な仕事だわ。
他の石油会社も、海外の石油会社と協力関係にあるのかな?
例えば、日本と韓国の石油最大手同士であるJX日鉱日石エネルギーとSKイノベーション。両社は2011年8月、韓国ウルサンに潤滑油製品を製造する合弁会社を設立したわ。JXも震災時に仙台製油所や鹿島製油所が被災したから、SKからガソリンなどを緊急輸入したようね。もっとも、協力関係を結んでいない別の石油会社からも調達したようだけれど、日ごろからいい関係を築いていれば、いざというときに心強いわ。
日本と韓国の石油会社は仲がいいんだね。
やっぱり、困ったときは近くの友人が頼りってことかしら。韓国から日本まで、タンカーを使って石油製品を輸送すれば、ほんの数日で届けることができるの。災害時だけじゃなくて、冬場に灯油を韓国から緊急に調達することだってあるのよ。日本国内だって、九州から北海道に運ぶとしたら、韓国から輸入したって距離的にはむしろ近いかもしれないでしょ。
なるほどなあ。これからますます日本と韓国の石油会社は協力関係が強まるかもしれないね。
日本の石油会社はいま、製油所の能力を次々に減らしているのよ。人口が減っているし、環境に配慮して石油製品の使用が減っているからなの。これまでのようにたくさん石油製品を作ってしまえば、余ってしまうでしょ。だけど、逆に言うと、自然災害など、「万が一」のときは、国内で石油製品が不足してしまうことも考えられるわ。「安定供給」を守ろうとすれば、韓国の石油会社との関係強化はとても重要な戦略と言えるのね。
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