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第24回 ~環境負荷もバッチリ低減!!新型火力発電の巻~(2013年5月31日)


うん。 東京電力は石炭火力の建設を計画していて、5月24日締めで入札を行ってたの。それに手を挙げたのが電源開発(Jパワー)、新日鉄住金、それから東電と中電の連合体よ。電源開発と新日鉄住金は合同で同社の鹿島製鉄所内(鹿嶋市)に発電所を建設する計画だから、実質的には2つの連合体が応札したことになるわね。

東電との共同事業だけど、中部電力が関東に発電所を作るっていうのは、これまでの電力会社の地域独占体制を踏まえると、すごく画期的なことだってニュースになってるよね。

そうね。毎月ポストに入ってくる「電気ご使用量のお知らせ」を中部電力から受け取ることになったら、東京に住む私たちにとって最初はきっと見慣れないんだろうなぁ。

ところでなんで石炭火力発電なの?このコラムで見てきたように、時代はやっぱりシェール革命なんだから、LNGや石油を使う発電所にしないのかな?

お兄ちゃんもだいぶいいポイントを突くようになってきたわね。今回の入札、実は石炭火力に限って実施されたわけじゃないの。

限って実施されたわけじゃない?ってことは天然ガスや石油でもよかったってこと?


③?上限価格9.53円/kwhってやつかい?

うん。この条件があったから、実質的には今回の入札で石炭火力の計画でしか応札できなかったのよ。石炭の発電コストは、石油やLNGと比べると極端に安いの。

あっ、その話なら聞いたことあるぞ。毎時キロワットあたりの発電コストはLNGなら10円、原油や重油なら16~17円ってやつだよね。そっか。9.5円以下で電気を作ろうとすると、LNGや原油だとコストが高すぎるから石炭を選ばざるをえないってわけだね。

その通り!石炭を原料とした場合、キロワット時あたりの発電コストはなんと3.7円よ。とってもお得でしょ?今回の入札対象が260万キロワットだから、仮にこれを全部石炭で焚いた場合、LNGと比べてどのくらいお得になるかしら?

えっと、価格差は「10-3.7=6.3」だろ?6.3に260万を掛けると……1億6,300万……えっ、こんなになるの!? これって1時間あたりの差だろ?

そうよ。これを年間発電量に換算したら、定期検査による休業日とか出力とかを差し引いたとしても、1,000億円くらいの差が出るわ。

それじゃあ石炭を選ぶよなぁ。でも、石炭っていうと環境への負荷が大きいってイメージがあるけど?黒煙がモクモクって感じの。

そこは技術立国・日本のお家芸よ。電源開発が2002年にリニューアルした磯子火力発電所(横浜市)では、大気汚染を防ぐための最先端技術が導入されているわ。硫黄を取り除く排煙脱硫装置や窒素を減らす排煙脱硝装置の効果で、排煙から硫黄酸化物(SOx)を99%、窒素酸化物(NOx)を91%除去してるんだって。

へー、さすがだねえ。

さらに、この技術を海外に輸出しようという動きもあるのよ。世界には石炭火力を二次エネルギーの要として利用している国がまだまだあるわ。中国は発電量の約8割、インドは約7割を石炭火力で賄っているの。だから低公害の石炭火力を欲しがる国はたくさんあるはずよ。

そうだね。それにこうした技術が海外にも普及すれば、地球全体の大気汚染防止にも一役買いそうだね。

たしかに石炭はLNGや石油と比べると、どうしても環境負荷が大きいけれど、それでもこうした新技術を導入すれば改善はできるわ。

うん、これからの石炭火力に期待だね。
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