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第26回 ~燃える氷を探せ-メタンハイドレートってなに?の巻~(2013年6月14日)

経済産業省が、メタンハイドレートの調査を始めたわね。調査船が今月10日に、新潟の直江津港を出港したって聞いたわ。でもこの船で何を調べるの?

今回の調査は、新潟県から石川県にかけての沖合で行われるんだけど、メタンハンドレードという資源が、どのくらいあるのか調べているんだ。日本海側での調査は、今後3年くらいかけて行なわれて、2014年ころからは実際に試掘も始まる見込みだよ。

経産省は、最近この調査を始めたの?

実は結構、前に始まった事業で、計画が発表されたのは、もう10年以上、前なんだよ。

どんな計画なの?

経産省が2001年7月に発表した、「我が国におけるメタンハイドレート開発計画」というものがあるんだ。昔の通産省が、経済産業省に変わったばかりころだね。

その計画に基づいて、事業が進んでいるのね?

この計画は、2001~06年度、07~11年度、12~16年度の3段階(フェーズ)に分かれていて、いまは3つ目の「フェーズ3」の時期にあたるんだ。ただメタンハイドレートの分布調査や資源量の確認は、フェーズ1で行う予定だったから、当時の計画に比べるとちょっと遅れているよね。

次の段階のフェーズ2ではどんなことをするの?

海洋での生産試験や、生産手法の検証をすることになっているんだ。実は、今年の3月に、海洋での生産試験は行なわれたから、すでにフェーズ2も並行して実施されているんだよね。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が、メタンハイドレートを海底で分解して、メタンガスを取り出すことに成功したんだ。

そのあとがフェーズ3なのね?

そうだね。フェーズ3では、商業産出の準備や、経済性の評価、環境影響評価など、実用化に向けた段階になるんだよ。

ふーん。そもそもメタンハンドレートって、メタンガスと何か関係あるの?

メタンと水が結合してできたかたまりだから、メタンハイドレートって呼ばれるんだ。メタンは天然ガスの成分で、ハイドレートは化学の用語で水和物という意味なんだ。海底にあるときは、冷たいかたまりの状態だから、「燃える氷」って呼ばれることもあるんだよ。生産が実用化したら、発電や都市ガス用の燃料としての用途が期待されているよ。

海底って、どのくらい深いところにあるの?

メタンハイドレートは、圧力と気温が一定の条件でないと、氷の状態を保てないんだ。この条件をみたすのが、水深500~1,000メートルだから、このあたりに多く存在するって言われている。

今回の調査で、日本近海でたくさんメタンハイドレートが見つかれば、天然ガスの輸入に頼る分が少なくなるのね。

そうだね。まだはっきりしたところはわからないんだけど、日本の周辺に、6~7兆立方メートルのメタンハイドレートが存在するとの調査もある。これは、日本の天然ガスの使用量の100年分になるんだ。

100年分も?

そうなんだ。今、経産省が進めているのは、この資源量を正確に把握するための調査なんだよ。サンプルの回収も進んでいて、実際に北海道の奥尻島沖では1989年に、メタンハイドレートが採取されているんだ。太平洋側では、紀伊半島から四国にかけて南海トラフと呼ばれてところがあるんだけど、そのなかの四国沖で1990年に、採取に成功したんだよ。

国内でガスが出てくるんなら、少しでも早く取り出してほしいわね。

確かにそうなんだけど、問題はコストなんだ。天然ガスの取引では、重さや体積ではなくて、100万Btu(英国熱量単位)という熱量を単位として使うことが多いんだけど、このときの試掘のコストは、100万Btuあたり約50ドル。いま、日本が輸入している液化天然ガス(LNG)の価格が、15ドル前後だから、今のままでは、とても競争にはならないね。

新しい技術にはお金がかかるものなのねえ。

そうだね。メタンハイドレートは、さっきも言ったように、気温や圧力の条件がそろわないと、氷の状態を保てないんだ。条件が変わると溶けだしてしまって、メタンだけを取り出すことが難しくなってしまう。だからJOGMECの試験でも、海底でメタンハイドレートをメタンと水に分解して、メタンを取り出したんだよ。

なるほどね。シェールガスの実用化したんだから、メタンハイドレートも早く使えるようになるといいわね。

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(文:LNGチーム 深水)
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日本近海に埋蔵されているメタンハイドレートは、日本の天然ガス使用量の何年分に相当すると言われている?

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