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第28回 石油の値段の大本~リムのサイトに新コーナー登場~!!の巻(2013年6月28日)

ねえ、お兄ちゃん、リムのウェブサイトに「市況羅針盤」というカテゴリーができたじゃない?そこに「指標原油」という言葉があるんだけど…これはWTIとブレントのことよね?

世界の原油取引市場は、主に北米、欧州、アジアの三大市場から成っているんだ。そして、それぞれの市場で取引するときに、基準として使われているのがアメリカ産のウエスト・テキサス・インターメディエイト(WTI)原油、北海産のブレント原油、中東産ドバイ原油の価格。世界三大原油指標と認識されているよ。

でも、羅針盤にはWTIとブレントの2つしか出てこないわ。

WTI、ブレントとドバイの大きな違いは、WTIとブレントは、それぞれ主にニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)、インターコンチネンタル取引所(ICE)の「先物価格」が指標となっているのに対して、ドバイ原油は「現物(スポット)価格」が重要なんだ。

先物取引は将来の売買について、価格や数量を事前に約束しておき、その約束の日がきたら実際に取引をすること。で、現物取引は実際に品物をやりとりする取引のことね。でも…WTIは北米、ブレントは欧州の指標でしょ?アジアの石油取引には関係無いんじゃない?しかも、WTIはアメリカ国外へは輸出されていないのよね…?

それが、関係あるんだよ。例えば、テレビや新聞で「原油価格」というと、一般的にWTI先物価格のことを示しているんだ。

え~っと、WTIは米テキサス州西部とニューメキシコ州南東部で採れて、硫黄分が低くて、軽質の原油。ガソリンとか灯油とか石油製品を作るのに適しているのよね。

そう、名前の通り、テキサス西部産の中質油だよ。テキサス西部といえば、近代的な原油採掘が始まった場所で、アメリカを代表する原油なんだ。WTIは1983年にNYMEXに上場されたよ。

経済大国アメリカで、歴史の長い先物市場に上場されたって分けね。

うん。WTIの一日の生産量は数十万バレルだけど、WTI先物の一日の取引量はその千倍以上にもなるんだ。取引にはも石油会社や貿易会社などの石油業界関係者以外に投資ファンドなどたくさんの人が参加している。良質で、取引規模が大きいから、世界の原油指標として受け入れられているんだ。石油市場だけでなく、WTI先物の価格動向は経済指標としても注目されているね。

じゃあ、ブレントはどうなのかしら。ブレントはイギリスの北海油田で採れる、やっぱり軽質で低硫黄の原油ね。

主に欧州で取引されているよ。これもまた、ICEに上場されていて、取引量が多くて、欧州で取引されるアフリカや中東産原油の価格決定に影響力を持っているよ。

やっぱり、先物市場で取引され、価格の透明性にすぐれているから、取引量も多いのね。

最近では、新型原油・シェールオイルの産出量増加で、在庫が多くなり、価格が下がる傾向にあるWTIよりも、ブレントのほうが月間取引量が多くなることもあるんだ。国際指標としてブレント先物価格の意義が大きくなっているよ。

そういえば、去年の12月には、米エネルギー情報局(EIA)がレポート「2013年年間エネルギー見通し」で、価格予想の指標で初めてブレントを採用したというニュースがあったわね。

そうだね。だから、北米や欧州の指標といっても、アジアの石油取引にも大きく影響するんだ。

市況羅針盤には、二つの原油指標のほかに、為替や株価の話も出てるでしょ。

うん。さっきも話したけど、WTIもブレントも先物市場で取引されていて、石油業界関係者以外にも投資ファンドの人たちが多く参加しているんだ。だから、この二つの原油は投機資金の対象にもなっていて、原油の需給だけでなく、為替や株、つまり世界の経済状況の影響もとても大きいんだ。

へ~。で、お兄ちゃん、株のこと知ってるわけ?

ム……それは、これから僕たちはたくさんのことを勉強しないといけないってことだよ!
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