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第30回 備えあれば憂いなし!備蓄基地の巻(2013年7月12日)

液化石油ガス(LPG)の国家備蓄基地で、買付け入札が行われたんだってね。備蓄基地で買付け入札を実施するって、全然意味が分からないんだけど、どういうことかな。
http://www.jogmec.go.jp/news/bid/bid_10_000060.html
http://www.jogmec.go.jp/news/bid/bid_10_000060.html

うーん、どこから説明しようかしら。まずどの場所でやるかを確認したらどう?

資料によると、岡山県倉敷市と愛媛県波方市にある、2つの国家備蓄基地が入札の対象になってるね。で、どちらも今年の3月に完成した……と。それぞれの貯蓄量は40万トンと45万トンって書いてあるよ。

その2か所のタンクに受け入れるLPGが、入札の対象になるってことよ。今回の入札では計85万トンのうち、16~18万トンが購入される見込みなの。過去の例からして、こういった入札を数回にわたって実施するはずよ。国から与えられた年間の予算内で、毎年一定量を買い付けていくんだって。これまでの実績では、日本の商社や外資系の元売りが落札してるわ。

なるほどね、一年ずつ購入していくんだ。たしかにいきなり全量を買い付けるのはコストがかかるもんなぁ。これを実施するのが……石油天然ガス……金属鉱物……資源機構……か。

そう。通称JOGMECよ。この組織の目的には、災害が起きた場合でも石油とLPGを供給できるような計画をサポートすること、それから地熱や金属鉱物の探鉱資金を援助することなんかがあるわ。

じゃあ今回のLPG入札は国家備蓄っていうくらいだから、まさに組織の目的遂行にあたる活動ってことだね。

そうね。いま日本には石油12か所、LPG5か所の国家備蓄基地があるわ。災害もそうだけど、中東の産油国で戦争が起きて、日本が石油やLPGを輸入できなくなった場合でも、備蓄された資源を一時的に放出することで国民の生活を支えることができるのよ。

へ~、じゃあ東日本大震災の時はどうだったの?

いい質問ね。実は震災後の2011年3月31日に、茨城県神栖市にある国家備蓄基地からLPGを20万トン放出したことがあるの。震災で鹿島にある共同備蓄基地の接岸施設(バース)がダメージを受けちゃってね。船が入れない状態だったのよ。

それでJOGMECがここぞとばかりに助け舟を出したんだね。でもその壊れた基地も備蓄基地だったんでしょ?それはどこが管轄してたの?

そこも大事なポイントね。備蓄基地はなにも国が管理してるものだけじゃないの。万が一のために、民間の石油会社にも原油やLPGの備蓄が義務として課せられているのよ。

えー!義務になってるんだ。

2度のオイルショックがあった1970年台前半以降、国家も民間企業も緊急時の備えとして一定日数の石油やLPGをタンクに貯めておこうっていう法律が作られたの。現在の民間備蓄量は原油で73日分、LPGで60日分にものぼるわ。

へ~。じゃあその民間備蓄と国家備蓄を合わせれば、たとえ輸入ができなくなっても100日くらいは耐えられそうだね。

そうね。でもタンク自体の安全を守ることも重要よ。いくら原油やLPGを蓄えたところで、漏洩や爆発があったら意味ないわ。だから日ごろの安全点検や保安パトロールも大事になってくるんじゃないかな。

そうだね。今日もこの暑いなか、聴針棒を持って周辺機器のモーター音を点検してる人がいるんだよなぁ。いざというときのために、こういう平時のときの備えも大事なんだよね。

そうね、今度はそういう基地の現場で頑張ってる人たちも取材できるといいわね!
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