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第31回 東南アジアで日本商社が熱い攻防戦!の巻(2013年7月19日)

ねぇ、工業団地って聞いたことある?

ええ、沢山の企業が集まって、ひとつの街みたいになってる場所でしょ。

そう世界中どこにでもある。
例えばフィリピン。この国にもいくつか工業団地があるんだ。
ある団地は、48社近くの企業が入っていてフィリピンのビジネスの一つの拠点にもなっている。

50社近く?ものすごい活気でしょうね!

そう、この巨大な工業団地が上手く機能するよう、ある日本商社(A社)がそのインフラの管理に携わっているんだよ。

えっ、日本の商社が?

そう。工業団地の人たちが生活できるような、電気やガス、水道の供給が主だね。
例えばLPガス。ここの団地では企業の社員食堂で使われているんだ。

調理用や空調用よね。

そうだよ。
でもね、食堂でLPガスを使う際、どのガス会社からガスを供給するかは、各企業が自由に決めていいことになってる。

この工業団地が一括して契約するのではなく、それぞれが独自に決めてるの?

そう、聞いた話だと、それぞれが分厚い電話帳見たいな本からガス会社を選んで、契約するんだって。

面白いわね。でも48社だなんて、ガス会社の人からすると売り込みのチャンスよね?

そうだよ。最近、様々なフィリピンのガス会社がこの工業団地に積極的に営業をしていて、受注競争が熾烈になっているんだ。
なかでもあるガス社(Z社)が契約を取ろうと今、頑張っているんだ。

うんうん。

実はこのZガス社、ある日本商社(B社)とフィリピンのガス事業で出資している。

え、日本の商社なの?
それってB商社は、団地を管理してるA商社にとってライバルにならないかしら?

そう。まさにB商社は、Zガス社を通して、A商社の牙城に入り込もうとしているんだ。

わーお。同じ日本商社と言えど、ビジネスチャンスには果敢に攻めていくのね。

そう。一方でA商社は、ライバルのB商社に負けまいと、別のあるフィリピンのガス会社(Y社)に、この工業団地をYガス社の営業先として紹介しようとしてるそうだよ。

様々な思惑が入り乱れる・・・まさに熾烈な攻防戦ね!

うん。
実際は、紹介しても商社には直接利益が出るわけじゃないんだけどね。

そうなの?

だけども商社としても、今後その国でガス事業を展開する際、現地のガス会社と良い取引ができるきっかけになると思ってるんだ。

なるほどね、長期的にみても利益になる、価値の高い作戦なのね。
クラクラするわ。

エネルギーをめぐって企業同士が繰り広げるビジネスの攻防戦は東南アジアの小さな一角でさえも、いつだって熱いんだね。

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メール rimzo@rim-intelligence.co.jp
(文:LPGチーム 高橋)
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東南アジアの工業団地で、液化石油ガス(LPG)の使用目的の一つとして例示されているのは?

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