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第34回 電気の取引?~電力市場が自由化されたら~の巻(2013年8月9日)

ねえ、お兄ちゃん、最近復刻した「リム電力レポート」を読んでみたの。でもね、電気って電力会社が運営している発電所で作られて、それが私たちの家とか、工場とかビルに届けられているのよね?取引するってどういうことなの?

リミー、日本卸電力取引所(JEPX)って聞いたことあるかな?日本では、ここで電気の現物売買が行われているんだ。電気を作っているのは、北海道電力や東京電力などの一般電気事業者だけじゃないんだ。

え?ほかには誰が電気を作っているの?

工場やなんかで、自家発電設備を備えているところもあるだろう。200万キロワットを超える発電設備を持っていて、一般電気事業者に電気を供給している電源開発と日本原子力発電の2社を卸電気事業者というんだ。さらに、新電力という新しい会社もあるんだよ。新電力というのは、特定規模電気事業者のことで1999年に成立した新しい電気事業法に基づいて新しく電力事業に参入した会社のことなんだ。石油元売りや商社が出資する会社などがあるよ。

特定規模電気事業者…え~っと、契約電力が50万キロワット以上の需要家に対して、一般電気事業者が持っている電線を通して電力供給をしている会社のこと、って書いてあるわね。

そう。で、JEPXでは、こういう一般電気事業者、卸・発電事業者、新電力が会員になって、余った電力や足りない電力の売買をしている分け。

う~ん…電気も石油みたいに取引所で売ったり買ったりされてるのね…。でもどうやって?電力にもスポット市場とかっていうのがあるわけ?

そういうこと。JEPXは電力のスポット市場など3つの市場を用意しているよ。電力スポット市場では、1コマ30分、1日を48コマに分けて翌日受渡しの電気を取引しているんだ。

だけど、電気は電力会社が作って売ればいいのに、どうしてわざわざ取引する必要があるのかしら?私たちの家にも一般電気事業者以外から電気が届いているということなの?

実は、電力取引が行われるようになったのは、政府が1995年から少しずつ進めている電気事業制度改革の一環なんだ。発電部門や電気の小売り部門を自由化して競争原理を取り入れようとしているんだよ。

自由化するとどうなるの?

電力事業により多くの会社が参加して、競争になることで、例えば電気料金が下がったり、サービスが向上する可能性が考えられるよ。今はまだ一般家庭への電力販売は自由化されてないけど、中規模以上の工場や商業施設への販売は自由化されていているんだよ。

それは良いことね。そういえば、ヨーロッパではすでに電力自由化されてるわね。イギリスには、電気を供給する会社がたくさんあって、どの電気配給会社と契約するか自分で選ばないといけないって聞いたことがあるわ。各社のサービスや電気料金を比較するための電気料金比較ウェブサイトまであるらしいわね。

そうだね。イギリスでは、ガス供給も自由化されているから、電力・ガスのセットプランを提供する会社があったり、電気代で飛行機のマイレージが貯められるサービスがあったりするよ。国によっては、原子力発電や火力発電と、電気供給会社の発電方法によって会社を選んでいる人もいるよ。

へ~、面白いわね。でも、自由化のデメリットもあるんじゃない?

そう。例えば、イギリスには20以上の電力供給会社があるけど、実際はビッグ・シックスといわれる6社が総供給量の95%以上を占めていているといわれていて、市場の競争がうまく促されていいないという批判が出ているよ。それに、イギリスでは火力発電が占める割合が多くて、燃料価格が上昇すると、電力料金も上がってしまうんだ。

供給者同士が競争しても必ずしも電気料金が下がる分けではないのね。

それに、電力の供給安定が確保されるのかという点も指摘されているよ。

いずれにせよ、私たちは、日ごろから電気を無駄使いしないように心掛けるべきね。

このコーナーに対するご意見、ご質問は、リムゾー&リミーまで
電話 03-3552-2411
メール rimzo@rim-intelligence.co.jp
(文:海外製品チーム 鎌田)
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