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第36回 水とエネルギー ~水不足で何が困るの?の巻~(2013年8月23日)

暑い日が続くなぁ。愛知県や香川県では、渇水のために取水制限を設けてるんだってね

東京にある小河内ダムでは、12年ぶりに人工降雨装置を使うらしいわ。化学物質を含んだ煙を雲に向かって噴出すると、雲のなかで化学反応が起きて水滴ができるんですって

へぇ~、それはすごいなぁ。そんな装置があるなら全国どこでも水不足の心配なんていらないんじゃないの?

残念ながら東京にしかないんだって。1965年に作ったっていうから、もっと全国に広まってても良さそうだけどね

ふ~ん。水不足っていうと飲み水や生活排水、農業への影響が懸念されるけど、エネルギーの観点から見ると、どんな心配事があるかなぁ

そうねぇ。発電所や製油所では、大量の水が必要だわ。福島第一原発で事故が起きた際、冷却水が足りずに海水を使ったでしょ?あれは分かりやすい例だけど、別にアクシデントがなくても、エネルギーの生成過程に水は不可欠だわ

そうだね。LPGの貯蔵タンクを開放点検する際は、水を目一杯タンクに入れてガス置換を行うって、僕も聞いたよ。10万キロリットルのタンクだったら、10万トンの水が必要になるから、一般の生活からすると大量だよね。それから大型船の着桟バースがあるところでは、基地から船に上水を供給することがあるんだ。それも1回で約50トンに上るっていうから、けっして少ない量じゃないよね。そう考えると、エネルギーを作ったり運んだりするためには、何かと水が必要になってくるなぁ

そうね。海水から淡水を作る装置を備えたところもあるけれど、たいていは普通の水を使うはずだから、渇水の影響も少なからずあるんじゃないかしら。ただ、逆に水力発電用にためたダムの水を、生活用水に転換するっていうこともできるみたいよ

えっ、どういうこと?

お兄ちゃんはダムの目的って何かわかる?

それは飲み水を貯めるとか、洪水を防ぐとかでしょ?もちろん水力発電用の水をためるためってことも知ってるよ

そうね。で、最近はよく貯水率なんて言葉を耳にするけど、あれは主に利水、つまり農業や上下水道に使う水がなくなりましたよ、ってことなの。実はダムがカラカラに干上がったわけじゃなくて、発電用の水がまだ残ってるの。発電用水は貯水率にカウントされてないだけなんだって

あ~なるほど。じゃあその発電用として温存していた分も利水として使おうってことだね

そういうこと。もちろん、雨水が降って利水用の貯水率が回復してくれるなら、それが一番いいんだけどね

そうだね、一日も早く雨が降るといいね
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