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第45回 ニュースに注目、ガソリン価格の動きを追え!巻(2013年10月25日)

「出光興産=千葉製油所第2トッパー、再開のめど立たず」。リムのマーケットニュースで見つけた記事だけど、製油所の事故って後を立たないね
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本当ね。今回の稼働停止は、原油を分解する常圧蒸留装置(トッパー)の入口付近で小火災が発生したことが原因―って書いてあるわ。ほかにも、装置の不具合、パイプラインの破損なんかが原因のこともあるそうよ

稼働停止の原因が例えちょっとしたことであっても、製油所で扱う石油製品などはとても引火しやすいから、原因究明、再発防止策がしっかり取られないことには、簡単に再開することができないんだね

私たちみたいな一般の人間は、製油所の事故と聞けば、「爆発しないかしら?」とか「いつ再開するのかしら?」っていうことが気になるけれど、石油業界関係者はさらに別の見方をするのよ

え?どういうこと?

例えば、今回、千葉製油所が停止した出光興産。全国のガソリンスタンドに向けて、たくさんのガソリン、灯油、軽油といった石油製品を出荷しているわよね。それに、工場とか発電所向けにも燃料を供給しているわ。仮に停止が長引けば、こうした供給ができなくなってしまうでしょ

それは大変だ。そんなときはどうするんだい?

国内の他の石油会社や商社から、必要な製品を買うことになるわ。近隣の別の石油会社の製油所から融通してもらうこともあるし、少し離れた場所からタンカーで運んでくることもあるのよ。国内で十分な分量を確保できなかったり、価格次第では、韓国やシンガポールといった外国から製品を輸入することもあるわ

安定供給を守るために、石油会社は速やかな対応が求められるんだね。そういえば、2011年3月の東日本大震災で千葉製油所が被害を受けたコスモ石油も、国内や海外からの調達を長らく続けたって聞いたことがあるぞ

実は、製油所の事故にかかわらず、石油会社や商社は日常的に石油製品の売買をしているのよ。原油を精製すると、好むと好まざるにかかわらず、ガソリン、軽油、灯油…と、いろいろな石油製品が同時に作られてしまうの。だから、A社が、「最近はガソリンを作り過ぎてしまったな」と言っているときに、B社が、「ガソリンが少し不足気味だからなんとか手当てしないと」と困っているというような実態が発生してしまうのね

そうか!そういうときは、B社はA社から必要な数量を買えばいいんだな。ということは、A社の看板がかかっているガソリンスタンドで、B社が作っているガソリンを販売していることもあるってわけだね。それに、海外から運ばれてきたガソリンもあるわけか

特に、製油所のトラブルで製品が足りなくなったときは、石油会社は「すぐにでもガソリンを調達しなくちゃ!」って慌てるでしょ。そんなときは、多少、高い金額を払ってでも必要な数量を集めないといけないのね

ということは、同じ製品を同じ数量だけ買うことになっても、緊急性が高ければより高値で取引されるんだね

そういうこと。一部には、「製油所の稼働が止まれば製品の値段が上がり、国内全体の取引価格が上昇する。だから、石油会社は意図的に再稼働を遅らせている」なんてウワサする人もいるのよ

いずれにしても、製油所が稼働しているかどうかは、石油製品の値段にも影響を与えるってことだな。海外の原油相場だけじゃなくて、そうした国内のニュースにも注目すれば、より石油製品価格の動きが見えてくるかもしれないね
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