ホーム  > やさしいエネルギー講座
第46回 ~快適な空の旅、次世代の航空燃料?の巻(2013年11月1日)

欧州連合(EU)は、ヨーロッパ内で離着陸する航空会社に対する温室効果ガスの排出規制の一部を来年から2020年まで免除するらしいわよ。

国際連合の機関の一つ、国際民間航空機関(ICAO)が2020年までに、温室効果ガス排出を減らすための国際的な枠組みを作ると決めたからだよ。EUは2012年から、EU域内を発着する飛行機に対してEU外の航空会社にも温室効果ガスの削減を義務づけていたんだ。でも、国際的な枠組みができるまで、EU域外とを結ぶ路線に対して規制の適応を見送ることにしたんだ。

ほとんどの飛行機の燃料はケロシンが主な成分のジェット燃料よね?それって、ガソリンや船の燃料の重油みたいに温室効果ガスを排出するのね…。

ICAOの2013年版環境レポートは、世界の人為的な二酸化炭素排出量のうち、約2%が航空機に由来すると言っているよ。その2%のうち、60%は国際線の飛行により排出されているんだ。

だけど、海外旅行は楽しいし…ICAOのレポートは2030年までに航空機での移動は今の2倍になり、その後も増え続けると予測しているわね。そのぶん、航空機による大気汚染も深刻になるのよね?

そう。だからICAOの加盟国は、今後少しずつ航空機の燃費を良くして二酸化炭素の排出を2020年レベルにとどまらせようという約束をしたんだ。

でも、一体どうしたらそれが可能になるのかしら?

エンジンの効率を良くするために技術開発が進められてるのはもちろんだけど、石油由来のジェット燃料の代わりとなる燃料の研究も進んでいるよ。

代替燃料の研究ってことね。環境に優しい航空燃料ってどんなものがあるの?

例えば、液化天然ガス(LNG)を使って飛行機を飛ばす研究が行われているよ。それに、バイオマス燃料を使う研究も行われているんだ。

バイオマス燃料って植物や生物を使って作られた燃料よね?トウモロコシから作ったエタノールを自動車の燃料に使うという話なら聞いたことがあるわ。

航空業界でも、世界中の航空会社が植物由来の燃料で飛行機を飛ばす研究を行っているよ。ジャトロファやカメリナ由来の燃料を混ぜたジェット燃料での飛行テストは既に行われているよ。廃食油を精製した燃料を搭載した旅客機は実践で使用されているんだ。それにね、ココナッツやサトウキビから作った燃料もあるんだ。

へ~。ココナッツやサトウキビって、美味しいうえに飛行機も飛ばせるのね。

それにね、ミドリムシ由来の燃料なんていうのも研究されているんだ。

ミドリムシ?!小学生のとき理科の時間で顕微鏡で見た、植物と動物の中間のあれ?

ジェット燃料は灯油に近い軽質な燃料なんだ。ミドリムシから摘出される油も軽質で、ジェット燃料に適しているんだって。それにね、ミドリムシは専用の設備で培養されるから、巨大な農地は必要ないし、サトウキビやトウモロコシみたいに食料としても大量に使われている分けではないから、食料価格に影響してしまう可能性も少ないよ。

へ~。そういえば、ミドリムシって最近、ビタミンやミネラルの栄養素に優れていて、サプリメントとしても注目されているよね。ずいぶん万能なのね。
このコーナーに対するご意見、ご質問は、リムゾー&リミーまで 電話 03-3552-2411 メール rimzo@rim-intelligence.co.jp |
クイズに挑戦してみよう!
今回の
「やさしいエネルギー講座」
から出題!
「やさしいエネルギー講座」
から出題!
バイオジェット燃料に活用される微生物は?
正解と思ったボタンを押してみよう。
エネルギーの知識をさらに深めたい人は、一般社団法人日本エネルギープランナー協会の検定に挑戦してみよう!
(リム情報開発は、一般社団法人日本エネルギープランナー協会を応援しています)