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第48回 ~海上事故を防ぎます!海上交通センターの巻 (2013年11月15日)

今月もたくさんのLPGタンカーが日本に到着するね。

LPGタンカー到着予定表=KODAIJISANが16日、名古屋に到着予定

そうね。でもLNG船は東京湾だけでこんなに入港してくるのよ。

<LNG船動静表>東京湾 -19日に豪ダーウィン出しが入着へ

えー!?11月だけで40隻以上もあるじゃないか!!これってやっぱり震災の影響でLNGの需要が増えてるからなの?

それは否定できないわね。例えば東京電力は、1日1隻のペースでLNG船を受け入れてるみたいよ。

東電=40年以上の経年火力が約25%に、計画外停止の予防・早期復旧に注力

ふーん。でもこれだけたくさんの大型船が東京湾に入ってくるなんてすごいなぁ。昔アクアラインをドライブしたときに、海の上に色々な船が浮かんでいるのを見たことがあるけど、自動車船や石油タンカーって大きかったもんね。

私はアジア最大級の港、シンガポールで見た光景が壮観だったわ。海面を埋め尽くすように並んだ船が、一斉に港に押し寄せてくるの。迫力あったなぁ。ところでお兄ちゃん、そんな船の航行にもルールがあるって知ってる?

えっ、知らない。航行ってどういうこと?

うーん、やっぱり知らなかったか。航行っていうのは例えば、速力よ。船だってスピードを調整して走るでしょ?一般的な原油タンカーの航海速力は平均15~16ノットって言われているわ。1ノットは時速1.8kmぐらいだから、30km/h弱ってとこかしらね。さて、たくさんの船が海の上を走っているときに、この速度を維持していたらどうなるかしら?

それはぶつかる危険性が高くなる……よね。要するに渋滞中の道路で、車が50kmも60kmも出していたら危ないってことでしょ?

そう。船が安全に貨物を運べるよう、船の走り方にもルールが定められているってこと。外洋でも湾内でもね。で、東京湾や大阪湾といった船が集中する港湾で船の航行を管理しているのが、海上交通センターっていうのよ。

海上交通センター?

名前のとおり海上での交通を整理するための機関よ。海上保安庁が管轄しているわ。東京湾や大阪湾、名古屋港、関門海峡などに設置されているの。

http://www.kaiho.mlit.go.jp/syoukai/soshiki/toudai/center/center.htm

へえ~。たしかに航行制限の状況とか、巨大船の航路入港予定とか、そういう情報を提供するって書いてあるね。でも具体的にはどういうことをしているの?

たとえば大阪湾の海上交通センターでは、明石海峡に設置された海苔の養殖場所をホームページで公開しているわ。海峡を通行する船が養殖場へ誤って侵入しないように、ブイの位置を知らせているの。

なるほどねぇ。あっ!そういえば、さっき話していたLPGやLNGの大型タンカーは、入港予定時刻を報告する義務があるって聞いたことがあるぞ。ひょっとして海上交通センターがその報告先なの?

おっ、大正解。東京湾海上交通センターは、長さ200メートル以上の大型船や危険物積載船に対して、事前に航路入航時刻を報告するよう義務付けているわ。これが東京湾の大型船入港情報よ。浦賀水道という東京湾の出入口を通過する際の時間が表記されてるの、わかる?

http://www6.kaiho.mlit.go.jp/tokyowan/schedule/schedule.htm

うん。たしかにこれを見ると、最低でも5分以上の間隔を空けるよう、きっちり時間が決められているね。こうやって船ごとに時間をおいて通過させれば、自然と船同士の距離を遠ざけることができて、衝突の危険性も減らせるんだね。

そう。道路と違って信号機を設置することはできないから、時間を区切って航路を通過させるのよ。他にもターミナルへの着離桟に欠かせない気象情報なんかも随時提供しているわ。

遠くの国からはるばる運ばれてきたエネルギーが無事に日本へ到着するか、最後まで監視するのが海上交通センターの役割なんだね。なにげなく海に浮かんでいる船にも、たくさんの人が携わっているって分かったよ。

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メール rimzo@rim-intelligence.co.jp
(文:LPGチーム 志賀)
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東京湾や大阪湾など船が集中する港湾で船の航行を管理しているのは?

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