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第58回 ~どうなる、今年も気になる原油価格の巻 (2014年1月31日)

お正月だと思ってたらあっという間に1月も終わりね。今年はどんな年になるのかしら?

もうすぐ冬季オリンピックだし、サッカーのワールドカップもあるし、楽しい年になるの間違い無しだね!

違うわよ!今年は石油価格がどう変化していくかということよ。今年はどんなところに注目したらいいのかしら?

え…?そうか。ちょうど、いろいろな機関が2014年の展望を出したところだから、見てみよう。

石油価格は世界の経済状況に左右されるわね。国際通貨基金(IMF)は2014年に世界経済は3.7%拡大するという見通しを発表したわよ。去年10月に出した見通しである3.6%より拡大したね。

アメリカなどの先進国経済が回復に向かって、世界経済の成長を牽引するとみているからだよ。ヨーロッパでもイギリスやドイツの成長率予想は引き上げられているし、日本経済の回復も期待されているよ。

アメリカ経済の回復速度や金融緩和政策の行方が世界経済に与える影響が気になるわね。連邦準備制度理事会(FRB)の議長の交代も間近で、連邦公開市場委員会(FOMC)への注目も高まっているみたいよ。

中国など新興国経済の様子も大事だね。国際エネルギー機関(IEA)は1月の月報で世界の今年の石油消費は日量130万バレル増加して9,250万バレルになると予測しているよ。こちらもこれまでの予想から上方修正されたんだ。

先進国の景気回復も一因だけど、中国の今年の原油需要の増加率は米国の増加率を上回ると予測されているわ。中国などの新興国が今年も石油需要の拡大を引っ張っていきそうね。でも、需要だけが増えたら、価格が上昇してしまうわ。供給のほうはどうなっているのかしら?

今年もアメリカのシェールオイルの増産は続くとみられているよ。IEAは、アメリカの石油生産は今年、日量78万バレル増加するとしているんだ。アメリカ以外にも原油の増産が可能な国もあるから、石油輸出国機構(OPEC)以外の国からの石油需要は増加するね。

そういえば最近、アメリカが原油輸出を再開する可能性が指摘されているわね。

アメリカは1970年代の石油危機後、原油の輸出を禁止しているんだ。でも、シェールオイルの生産がすすんで国内で原油の余剰が出てきているんだ。だから、原油がより高値で売れるヨーロッパなどへ原油を輸出したいという声が出ているんだ。

もしも、アメリカが原油禁輸措置を解除すれば、世界の原油貿易の流れが変化する可能性もあるという分けね。

そうだね。一方で、増加する世界の原油需要を賄うには、OPECの増産も必要だとされているよ。OPECは1月の月報で、昨年12月の加盟国原油生産は日量2,944万バレルと前月から減少したと発表している。一方で、今年の世界の伸び見通しは日量105万バレルで、OPEC産原油に対する需要は日量2,958万バレルとしているよ。

それじゃあ、12月の生産量は今年の需要見込みより少ないってことになるわね。

リビアなどでの原油生産が回復しないことが影響したみたいだよ。

イランの原油輸出が増加するのかどうかとか、中東情勢にも引き続き注意しないとね。
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