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第61回 (2019年2月13日)

 12月下旬、20年ぶりに都内の場外馬券場に行った。もちろん、暮れの風物詩の馬券を手に入れるためだ。私の目に入ってきたのはかつての光景とはかなり違ったものだ。場外馬券場と言えば、「混雑、汚い、男ばかり」だった。しかし、目にしたのは「ファンの高齢化、クリーン、静かで罵声のない」場所だった。

 一方、競馬ファンに尋ねると、競馬場は家族連れや若い男女が増えていると言う。ピクニックや追っかけの会場になっているわけだ。

 場外馬券場も競馬場も公営ギャンブルの場であることに違いはない。しかし、そこに行く目的に大きな相違があるのだ。場外では、「スクリーンを通して競馬を楽しむ」ことになるが、来場するファンの高齢化が進み、イメージとは違い静かな場と化してしまったのだろう。もちろん、目的は不変だが。

 家族連れや若い男女は、リアルな生きた馬に出会いや触れ合いを求めたり、お気に入りのサラブレットに恋い焦がれたりしていることだ。時には、生誕の地(ルーツ)を訪ねるまでの追っかけぶりだ。あたかも馬がアイドルであるかのように。

 「ネット投票で、競馬場は形骸化する」との見方もあったが、ファン獲得に向けて主催者側の努力が、意外な形で実ったことになる。ファンの心を動かすには、設備面などの見える部分ではなく、ストーリー性や競馬とは直接関係のないエピソードが大切になっている。これはどんな産業にも言えることかもしれない。

(山田)

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