第11回 (2014年10月24日)
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されるWTI原油を始め、世界の指標原油が軒並み下落している。しかも数年ぶりの大幅な下げだ。原油価格は上がっても下がっても、得をする人もいれば損をする人もいる。指標を見て一喜一憂している人は多いことだろう。
原油取引を担うトレーダーには、世界の原油需給動向、経済指標、金融政策など幅広い分野に目を配ることが求められる。それだけに一朝一夕に務まるものではない。日々のトレーディングの中で成功、失敗を繰り返しながら、少しずつ一人前に成長していく。
話しはそれるが、私は最近、昔大流行したロールプレイングゲームのスマートフォン版で遊んでいる。「いい年をした大人がゲームとは何ごとか」と顔をしかめる方もおられよう。私自身もこうして文章に綴るのは気が引けるのだが、その後ろめたさを差し引いても夢中になるくらい、そのゲームは楽しい。
ゲームの内容はこうだ。主人公が世界中の見知らぬ街や洞窟を旅するなかで、「モンスター」と戦い、様々な経験を積みながらレベルアップし、最後にラスボスと呼ばれる強力なモンスターを倒す-。
子供のころは何の疑問も持たず、ひたすら熱中していただけなのだが、中年を迎えたいまとなってはそこまで純粋にはなれず、「なぜこのゲームが楽しいのか」などと考えてしまう。そして思い至ったのが、「結局、人間は成長をしたいと本能的に思っているのではないか」ということだ。
それを自分の立場に置き換えてみた。日々の仕事の中で、困難な要求に対し辛いと感じることも正直あるが、目の前のモンスターを倒すように、仕事を一つ一つクリアしていくことで、自分自身の成長が見えてくるのではないか?そして、さらに強敵が現れた時の備えとならないか?
後から振り返れば、「以前はなんて弱いモンスターに苦戦していたのだろう」と思う日が来るだろう。ランチを食べながら、「あの時は大変だったね」などと、同僚と語らうことも楽しい。そして、今日も成長するためのゲームをしに会社に向かっている。
(芝崎)
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