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第19回 (2017年6月14日)

 都市ガスの小売り自由化が4月1日から始まった。エネルギー業界に携わるものとして、この機会に自身の都市ガス料金をチェックすることに決めた。5月分の「ご使用量のお知らせ」を確認してみると、使用量が12㎥、基本料金が745.2円、従量料金(実際に使用したガスに対して課金される分)が1,586円と記載されていた。

 立方メートルあたりの単価は83.5円(1,586円÷12㎥)となる。注目すべきは立方メートルあたりの単価と、都市ガスの原料となる液化天然ガス(LNG)の輸入コストの差である。リム情報開発の調べで、LNGの輸入コストは5月分で立方メートルあたり36.6円。単純比較すると、実に2.3倍だ。3月、4月分も調べてみたが、その数値は3~4倍に上っていた。LNGプロジェクトの開発およびLNG船での転送費用、LNGタンクやパイプライン網などの保安検査や定期修理などを考慮しなければならない、というのは頭にあっても、この価格体系はいかがなものか。

 この中で、都市ガスの小売り自由化が叫ばれたのも納得がいく。ただその自由化されたガスの小売り市場の参入者数は5月末現在でわずかに15社。このため、小売り自由化が実施されている地域も事実上、関東、近畿、中京といった大都市圏に限られている。お世辞にも「競争原理」が働いているとは言いがたい。早く競争が起きる土壌を整えてもらい、われわれのような一般消費者も恩恵を得られるようなシステムにしていただきたいと切に望む。

(植村)

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