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第34回 (2018年1月10日)
正月の帰省に列車を利用した人も多いことだろう。われわれの生活に欠かせない鉄道だが、年末にかけて事故が続いた。東海道・山陽新幹線のぞみ号の台車に亀裂が入ったトラブルや東北新幹線の架線が切れて運転を停止したことは記憶に新しい。このほかにも関東地方では秋以降、JR在来線や私鉄で架線トラブルが相次いで発生した。いずれも死亡者が発生する事態にはならなかったものの、軽微なトラブルは大事故につながる可能性を秘めている。
事故に関する「ハインリッヒの法則」では、「1件の重大事故の背後に、29件の軽微な事故があり、さらに300件の事故につながりかねない、いわゆる『ヒヤリ・ハット』の事象がある」(デジタル大辞泉より引用)とされている。この法則に基づけば、年末の一連のトラブルもいずれ大事故につながる可能性があることになる。同法則は元々、労働災害に関する経験則だが、様々な事象に適用が可能であろう。
私たちの日常生活や業務のなかでも「ヒヤリ」としたものの、根拠なく良しとしていることはないだろうか。車のエンジン音がいつもと違う気がするが、次の車検時に確認すればいいだろうと見過ごす。ミスが多くなった気がするが、理由がよくわからず放置する。これら一見些細な事象は、いずれ発生するであろう大規模トラブルの予兆であることを忘れてはならない。
新しい年の始まりに、細かなトラブルをいつものことと見過ごしていないか、再度確認したい。
(深水)
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