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第41回 (2018年4月18日)

 滋賀県を訪れていたロシアのニコライ皇太子が、警備にあたっていた津田三蔵巡査に斬りつけられ負傷した「大津事件」が起こったのは明治24年。列強ロシアによる報復を恐れた当時の日本政府は、津田巡査を死刑にするよう担当裁判官に圧力をかけたが、大審院院長だった児島惟謙がこれに反発。謀殺未遂で無期徒刑の判決が下された。近代黎明期に日本が司法の独立を守った事件として有名だ。

 第二次世界大戦後にできた日本国憲法は第76条で司法の独立を定めている。司法権が裁判所に属し、「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」と明記されている。裁判官は圧力に左右されることなく、判決を下すことが求められているのだ。

 エネルギー市場の価格評価(アセスメント)の仕事を始めたばかりの頃、先輩から「アセスメントは裁判官の判決だ」と教わった。価格評価者は、アセスメントの方法を定めたメソドロジーに従い、取材して得た市場情報を基に、独立した立場で価格評価を行うことが求められる。価格を誘導しようとする様々な圧力によって、評価が歪められてはならないという教えだった。

 強いものからの圧力に抗うのは、裁判官とて簡単ではない。大津事件の担当裁判官は、大審院院長からの働きかけにより判決を曲げたのではないかとの指摘が一方である。どうすれば独立が保てるか。価格評価者としても追究していかなければならないテーマだ。

(須藤)

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