各発電方式パート2(2015年2月3日)

1.新エネルギーとして
 新エネルギーとは、日本では法律(新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法)で、「技術的に実用化段階に達しつつあるが、経済的な制約から普及が十分でないものの、石油代替エネルギーの導入を図るために特に必要なもの」と定義され、次の14種類が指定されている。
1. 太陽光発電
2. 太陽熱利用
3. 風力発電
4. 雪氷熱利用
5. バイオマス発電
6. バイオマス熱利用
7. バイオマス燃料製造
8. 廃棄物発電
9. 廃棄物熱利用
10. 廃棄物燃料製造
11. 温度差エネルギー
12. クリーンエネルギー自動車
13. 天然ガスコージェネレーション
14. 燃料電池

2.新エネルギー導入の意義とは
 新エネルギーを導入する意義としては、次のようなことがあげられる。
(1)エネルギーの安定供給
資源制約が少ない国産エネルギーであるためエネルギー安定供給の確保につながる。

(2)地球温暖化対策
二酸化炭素(C02)の排出が少なく、石油などの化石エネルギーに比べて環境への負荷が小さい。

(3)新規産業、雇用創出への寄与
新エネルギーに関わる技術は、電気機器、素材、住宅など幅広い産業が関係する技術であり、新技術や商品の開発過程において新規市場や雇用の創出につながる。

(4)その他
送電時のエネルギー損失の低減、災害等の緊急時に自立型電源として活用できるなど分散型エネルギーシステムとして利点があるほか、電力の負荷平準化(ピークカット効果)も期待できる。

太陽光発電

1.太陽光のしくみ
 太陽光発電とは、太陽の光エネルギーを電気に変える太陽電池を使った発電方法のこと。
では、発電した電気をどのようにして利用するのでしょうか。
(1)太陽光パネルに太陽の光が当たり、電気をつくる
(2)つくられた電気は『何本かのケーブル』を通じて『接続箱』というボックスに集まる
(3)その後、一本のケーブルで、さらに大きなボックス『パワコン』に送られる
(4)パワコンに集められた電気は、あらかじめ住宅に取り付けられている電気の分電盤に送られる
(5)分電盤から家の中のテレビ・冷蔵庫・エアコンなどに使用できる電気に変えられる
(6)昼間、電気が余ると、分電盤から外の電気メーター(売電メーター)を通って電力会社に売ることができる。この電気は近隣の家によって使われることが多い。
(7)逆に夜や曇り・雨の日は太陽光パネルで作った電気で足りないため、東京電力から電気を買う必要がある。この時は、電気メータ(買電メーター)を通って、分電盤からテレビ・冷蔵庫・エアコンに電気が送られる。
(8)ここまでのシステム全体の監視役が『表示モニター』。この数値で電気の流れをチェックして、発電・売電・買電の情報を分析できる。

2.固定価格買取制度
再生エネルギーの固定価格買取制度は、再生エネルギーで発電された電気を、その地域の電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する制度のことをいう。 電力会社が買い取る費用を電気利用者から賦課金という形で集めて、現時点ではコストの高い再生エネルギーの普及、導入を促進することを目的としている。対象となるエネルギーは太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5つ。
平成26年度の調達価格と調達期間(太陽光発電)
調達区分 調達価格1kWh当たり 調達期間
10kW以上 32円+税 20年間
10kW未満(余剰買取) 37円 10年間
10kW未満(ダブル発電・余剰買取) 30円   〃

3.エネルギー変換効率
変換効率とは、太陽電池に入射した光のエネルギーのうち電気エネルギーに変換した割合を表す数値で、下記機器によりますが、一般的に10~20%程度ですが、この数値はモジュールのタイプによっても異なってきます。
たとえばシリコン型の太陽電池モジュールであれば、もっとも変換効率が高いのが単結晶シリコン型で、15%~19%程度、多結晶シリコン型は12%~17%、アモルファスシリコン型だと10~12%程度となっています。

水力発電

1.発電の仕組み
 高低差を利用した水の圧力で水車、そしてタービンを回し、発電する。
(1)流れ込み式(自流式)
河川流量をそのまま利用する。

(2)調整池式
調整池を利用する。

(3)貯水池式
ダムを利用する。
発電方法は調整池と変わらない(調整池に変わるのみ)

(4)揚水式
夜間に水を電気を使用したポンプで上げ、昼間に下げる。

※調整池とダムの違い
ダムは水をせき止めるが調整池は止めないで一時的に水を貯める。ただし、場合により、ダムでせき止めて貯まった池も調整池と呼ぶ場合がある。

2.メリット
(1)温室効果ガスを発生しない
(2)山が多く起伏の大きい地域に適している
(3)電力量の調整が可能(水を止めておくことにより、大きな電力が必要な時に備えることができる)

3. デメリット
(1)降水量により変化するため、供給が安定しない
(2)多くの電力を得るためにはダムの建設を行わなければならないため、多額の費用が発生する
(3)ダム建設のため、環境破壊が起こき、動植物の生態系に大きな影響がでる
(4)ダム建設のため、住民の暮らしが変わる(村全体が水没する例もある)→移住の必要、農作物の問題

4.エネルギー変換効率
 エネルギー変換効率 80%。

5.その他
(1)日本では、既に水力発電設備に耐えうる川はダムが建設済みで余地が少ない。建設中の発電所は小規模になる。
(2)世界的に見ればまだ余力が残されている。
(3)日本の電力の総発電量のうち、8.5%を占めている(再生エネルギーではトップ)(出展:電事連 2013年度)
(4)水車の回転数は100rpm~1,200rpm(出展:中部電力)
(5)戦前は、大半が水力発電であったが、戦後の経済成長による電力需要の拡大により、火力に移行していった。

風力発電

1.発電の現状(日本国内)
 2013年度末時点で、総設備容量約271万kW、総設置基数1,934基(NEDO発表)。震災直後の2011年度末に比べ、僅か67基、15万Kwの増加だが、10年前の2013年度末と比べると1,193基、203万Kw増加した。(2014年度末=2,000基に達すると情報あり)風力発電の設置場所は、第1位が青森県、次いで北海道、静岡と風の強い地域が上位を占める。

2.国内の発電比率
僅か0.5%程度。再生可能エネルギーの中では、バイオ・廃棄物に次ぐ水準。

3.風力発電の使用理由
(1)二酸化炭素および放射性汚染物質の排出がないクリーンな発電で、環境にやさしい。
(2)洋上発電の場合、日本は、領海区域および排他的経済水域が広く、洋上での発電がおこないやすい。

4.風力発電の価格(発電、販売、買取り価格)
(1)買取価格    20kW以上=22円、20kw未満=55円、洋上=36円
**大規模発電は、他の再生可能エネに比べ高くはないが、小規模発電は突出して高い。

5.初期投資
風力発電1基の設置コストは、30万円~40万円/kW(100万kwに置きなおすと、3,000億~4,000億円と、ガスなど一部火力に比べ割高になる)。また、国際的に風車を含む設備不足で値上がり傾向にある。設置コスト全体の50~60%ほどを風車自体のコストが占めており、この低減が課題。日本の風車は、ヨーロッパからの輸入風車が多く輸送コストが高くなる傾向が続いている。

6.エネルギー変換効率
エネルギー変換効率は、風車の種類および、発電システムにより異なる。風車から取り出すことができるパワーは理論的に最大60%と言われるである。ただし実際は、風車の空気抵抗などの損失が大きくプロペラ形の場合で最大45%程度と言われる。風力発電システムでは、ギアなどの発電機の効率などを考慮する。このため、風力を電気エネルギーに変換する総合効率は、最終的に20~40%程度とみられる。(公益社団法人 日本電気技術者協会による)

7.その他(課題など)
(1)台風や雷により風車など発電設備に被害が出ることが多く、発電業者のリスクが大きい。
(2)風況に左右されるため、設備の稼働率があげられない。採算が悪化し、赤字企業が多い。
(3)天然記念物に指定されている大鷲が風車に突撃して死んでしまうという事故が北海道で相次いでいる。風力発電と自然環境保護の両立が求められることで、環境影響評価法の対象事業となっている。

地熱発電

1.発電の現状(日本国内)
2013年度末時点で、総設備容量約54万kW、設置個所24ヵ所(資源エネルギー庁発表)。ただし、地熱資源量としては世界第3位となる約2,340万kWを保有している。発電コストが低く、安定的に発電可能なベースロード電源として位置付けられているものの、地元の理解を含め開発期間が長いこと(10年以上)や開発コストがかかることなどから導入が進んでいない。とくに、21世紀に入ってからは新規の発電所建設はなく、1990年代後半に国の電源開発の方針変更に伴い、地熱発電を支援する予算が減少したことも大きな要因。なお、エネルギー基本計画(2014年4月)では、地熱発電設備の導入を短期間で円滑にできるよう、投資リスクの低減や環境アセスメントの迅速化などを進めていく方針が示されている。発電所は九州地方が最も多く、大分県で5ヵ所・約15万5,000kW、鹿児島県で3ヵ所・約6万kWなど。

2.国内の発電比率
発電量は2013年度実績で24億3,561万6,000kWh、他社受電も含めた発受電量では25億7,008万2,000kWhとなる。同年度の国内における総需要電力量9,823億5,423万9,000kWhに対する比率では約0.3%、再生可能エネルギーの中の比率(水力除く)では約15%。

3.地熱発電の仕組みと種類
(1)蒸気発電
地熱貯留層にある200~300度超の高温の天然蒸気を活用し、直接タービンを回す方法。地熱貯留層には、貯留層から蒸気だけが噴出する「蒸気卓越型」と、熱水と蒸気が混じって噴出する「熱水卓越型」がある。蒸気卓越型では最もシンプルな発電が可能だが、日本には松川発電所しかない。その他の発電所は熱水卓越型であり、2つの発電方法がある。

「シングルフラッシュ発電」
地下でフラッシュ(減圧沸騰)した蒸気と熱水が混合した地熱流体から、蒸気を気水分離器で1回だけ分離し、その蒸気でタービンを回す方法。日本の地熱発電所では大半この発電方式を採用。

「ダブルフラッシュ発電」
気水分離器で分離した熱水をフラッシャー(減圧器)に導入して蒸気をさらに取り出し、高圧蒸気と低圧蒸気でタービンを回す方法。高温高圧の地熱流体の場合に採用され、シングルフラッシュ発電よりも10〜25%出力が増加する。日本では、八丁原発電所と森発電所で採用されている。

(2)バイナリー発電
地熱流体が150度程度以下の中低温であれば、分離した蒸気では直接タービンを回すことができない。その場合、水より沸点が低い媒体(水とアンモニアの混合物等)と熱交換し、この媒体の蒸気でタービンを回す発電方法があり、バイナリー発電と呼ばれる。この発電方法は地熱発電の可能性を大きく拡げるもので年々増加している。

「温泉バイナリー発電」
高温の温泉水が噴出する温泉地では、浴用に利用できない50℃以上の熱水は、冷まして使う必要がある。しかし、バイナリー発電を用いれば、高温温泉(70〜120℃)の熱水で発電した後、温度の低下した熱水を浴用に利用でき一石二鳥。新潟県十日町市の松之山温泉では温泉バイナリー発電の実証実験が行われている。

4.地熱発電の価格(発電コスト、買取価格)
(1)発電コスト:燃料費が不要のため、設備投資費用がそのまま発電コストに。NEDOの試算によると、1kWhあたり9.2円~11.6円。※九州電力の八丁原発電所では同7円との報告もあり。
(2)買取価格(2014年度):15,000kW以上=26円+税、15,000kw未満=40円+税。いずれも調達期間は15年。

5.投資費用
地表調査や調査井の掘削など地点開発に1件あたり46億円程度の費用がかかる。
建設費用としては1kWあたり79万円、運転維持費としては年間で1kWあたり3.3万円(FIT)
買取価格の26円(15,000kW以上)はこれをベースに算定されている)。

6.設備利用率
設備利用率:1年を通じて一定量を発電できる特性を持っているため、設備利用率は約80%と高い水準。なお、天候などによって発電が左右される太陽光は約12%、風力は約20%程度。

7.エネルギー変換効率
地熱発電のエネルギー変換効率は9%ほど。