中国=アクリロニトリル市場動向
中国のアクリロニトリル(AN)市場は、供給潤沢感から相場の基調が弱まった。これまで定修入りしていた設備が再開し始めている。このところ原料コストが下がっており、ANメーカーの採算が改善していることを受け、稼働率を引き上げる動きが見られた。足元のAN稼働率は平均71%程度となっている。これらが供給潤沢に繋がった。
需要面では、中国で2023年までにANを原料とするABS生産能力が大幅に増加しており、ABS相場が軟調となった。採算悪化が続くなか、複数のABSメーカーは設備の稼働停止または減産を実施している。4月までのABS設備の稼働率は平均55%程度を維持していたもよう。このため原料のANの需要は乏しい。
先行きについては、6月以降に定修入りを予定しているABS設備があるものの、不需要期となっており、需給に引き締まり感は見られない。また、原料コストが低下しているため、価格面での支えがなく、市場には先安観があるとの観測が多い。
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