ジェット燃料動向=供給懸念が台頭、内航船不足で地方空港へ転送難に
ジェット燃料油市場で供給懸念が取り沙汰されている。航空会社はインバウンド需要増を背景に夏季以降の国際線増便を計画中だが、元売り3社はいずれもジェット燃料の供給増に慎重な姿勢を示している。元売り各社が供給増に踏み切れない要因のひとつとして、国内の内航船不足が挙げられる。国内地方空港のバースおよび油槽所の容量は小さく、小型転送船でしか燃料の受け入れができないケースが多いという。ここ数年で国内の内航船不足が深刻化しており、これに伴う転送費用上昇も顕著だ。元売り3社は今年4月以降、航空会社のみならず特約店、さらに需要家に対して転送費用の転嫁を進めていた。製油所のトッパー稼働率引き上げ、もしくは大型船で輸入を行ったとしても、「配船面の問題が解消されなければ意味がない」(関係者)との声が寄せられる。 また、このところの製油所の供給が不安定なことも増強に動けない背景のひとつだ。定期修理に対する人員確保が困難で、製油所の修理期間は長期化する傾向となっている。製油所の老朽化から装置の不調も慢性化しており、国内供給を急速に増やすことは困難な状況だ。さらに国際市場ではガソリンや軽油の相場が弱含んでおり、製油所稼働率を大きく引き上げにくい環境でもあるという。 国土交通省や経済産業省は航空会社や石油元売りとともにジェット燃料の供給対策問題への協議会を今月中旬ごろに立ち上げる見通しだ。
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