電力=3月4~8日:電力スポットは前週比で続伸、低めの気温で需給引き締まり傾向に
3月4~8日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東西ともに大幅続伸。3月に入り、定期点検などで停止する火力発電が増えているなか、低めの気温が続いたことで需給が引き締まり傾向となり、電力スポットも底上げの動きとなった。関東甲信では、7日夜から8日にかけて降雪に見舞われるなど真冬の寒さとなり、東京エリアの8日の最大需要は4,800万kWに迫った。 東西のメインエリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、4日が0.05円、6日が2.03円、7日が1.06円、8日が3.02円の東高西低となり、5日が1.56円の西高東低だった。
燃料相場は、前週比でLNG、石炭、原油のいずれも上昇した。 北東アジア市場のLNGスポットは、3月7日時点で期近の24年4月着品がmmBtuあたり9ドルとなり、前週末(3月1日)から0.5ドル程度の上昇となった。欧州の天然ガス相場が強基調で推移したほか、中国の需要家による継続的なスポット買いが強材料となった。経済済産業省が6日に公表した、3日時点の発電用LNGの在庫が195万トンとなり、前週から21万トン減少した。前年2月末時点の248万トン、過去5年平均の213万トンをいずれも下回った。低めの気温が続いたため、暖房需要が伸びた。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、週後半時点で24年4月積みがトンあたり137ドル台半ばとなった。前週末から5ドル強の上昇となった。ガス価格の上昇に連動した。また、国内の大手電力と外資系燃料商社による4月起こしのチャンピオン交渉を控え、相場が右肩上がりとなった側面もあるようだ。 原油相場は、8日午後時点でWTIの24年4月物がバレルあたり79ドル台半ば、ブレントの24年5月物が83ドル台半ばで推移している。いずれも前週末から1.5ドル前後の上昇となった。中東情勢の緊迫化や、米国の石油製品在庫が市場予想を上回る減少幅となったことなどが強材料となった。
週を通じた実勢高値は、8日の東北と東京で付けた25.84円。一方、実勢安値は4日および7~8日に九州で付けた0.01円となった。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比3.16円高の13.28円、東北が同2.05円高の12.11円、東京が同1.95円高の12.17円、中部が同1.67円高の11.42円、北陸が同1.97円高の11.26円、関西、中国、四国が2.15円高の11.25円、九州が同1.90円高の10.40円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比16.4%減の9億4,270万640kWh、買い札が同2.8%増の9億5,344万4,970kWhとなった。約定量の週間平均は同5.9%減の6億6,504万1,100kWhだった。
3月4~8日の9エリアの電力需要は133億7,424万3,000kWhとなり、前週2月26日~3月1日の131億4,769万4,000kWhから1.7%増加した。なお、曜日を合わせた前年の3月6~10日の需要実績は115億3,703万2,000kWhで、増加率は15.9%となった。
3月4~8日のJEPXの先渡市場では、約定がなかった。
3月4~8日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
3月4~8日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
3月第3週の電力スポットは、第2週から下げ幅が大きくなりそう。第2週は真冬の寒さとなったが、第3週は春らしい陽気に戻る見通しのため、暖房需要が急減し価格にも波及するとみられる。また、週半ば以降は全国的に晴れ間の日が続くため、潤沢な太陽光発電が見込まれ、九州など西日本の日中時間帯では0.01円を付ける日も多くなりそうだ。
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