電力=4月8~12日:前週比で東が上昇し西が下落、分断多発で東西値差拡大
4月8~12日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東日本が上昇し西日本が下落した。前週に比べ天気は曇天となったが、それでも気温は過ごしやすい陽気が続いたことで、電力スポットの上値は抑えられた。ただ、不需要期入りで火力発電の点検停止とともに、連系線の作業も増えており、この週は連系線の動向が東西価格に大きく影響した。とくに、8日から11日にかけて行われた中部北陸間の南福光連系所および中部関西間の三重東近江線の作業の影響により、北陸関西間での分断が多発。9日は全48コマで、10日は47コマで生じるなど、電力スポットの東高西低が拡大する要因となった。 東西のメインエリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、8日が1.97円、9日が7.85円、10日が5.90円、11日が3.45円、12日が5.08円の東高西低だった。
燃料相場は、前週比でLNGと石炭が小幅高、原油が小幅安となった。 北東アジア市場のLNGスポットは、週後半時点(4月11日)で期近の24年5月着品がmmBtuあたり9ドル台半ばとなり、前週末(4月5日)から0.1ドル程度の小幅上昇となった。北東アジア市場では不需要期に入り、需要が鈍化傾向となっているものの、海外市場では中東やウクライナの地政学リスクの高まりや、米国のガス供給が低調となるなど強材料が散見されたことで、相場の下げ幅は限定的だった。経済済産業省が10日に公表した、4月7日時点の発電用LNGの在庫は160万トンとなり、前週から12万トン上積みされた。前週を上回ったのは6週ぶり。ただ、前年4月末時点の244万トン、過去5年平均の202万トンをいずれも大きく下回っている。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、週後半時点で24年4月積みがトンあたり128ドル台後半となった。前週末から0.5ドル程度の小幅下落となった。需要は鈍化傾向となっているものの、ガス価格が堅調に推移しており、相場は下支えされた。 原油相場は、12日午後時点でWTIの24年5月物がバレルあたり85ドル台後半、ブレントの24年6月物が90ドル台半ばで推移した。前週末から0.5ドル程度の下落となった。前述のように、中東やウクライナ情勢の地政学リスクが強材料となった一方、米国の原油在庫が大幅に増えるなど強弱材料が入り混じり、相場は方向感に欠いた。
週を通じた実勢高値は、9日と10日に北海道から北陸の5エリアで付けた19.97円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、9日は関西から九州の4エリアで、10日は全9エリアとシステムプライスで、11日は北海道と東北で、12日は西日本6エリアでそれぞれ付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比2.26円高の11.40円、東北が同2.33円高の10.96円、東京が同1.26円高の12.25円、中部が同1.08円高の11.17円、北陸が同1.24円高の11.04円、関西と中国が同2.40円安の7.40円、四国が同1.92円安の7.40円、九州が同2.50円安の7.30円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比2.6%減の10億3.996万780kWh、買い札が同1.5%減の8億2,805万9,730kWhとなった。約定量の週間平均は同1.9%減の6億3,089万180kWhだった。
4月8~12日の9エリアの電力需要は、107億2,586万2,000kWhとなり、前週4月1~5日の108億4,714万kWhから1.1%減少した。なお、曜日を合わせた前年の4月10~14日の需要実績は105億9,705万kWhで、増加率は1.2%となった。
4月8~12日のJEPXの先渡市場では、約定がなかった。
4月8~12日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。468枚(46.8MW)の約定があった。
4月8~12日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。181件、1,099MWの約定があった。
4月第3週の電力スポットは、第2週から大きな変化はなさそう。天気は、15日が九州や四国、16日が中国や近畿から東北、17日が東北や北海道でそれぞれ雨の予想だが、ほかはそれぞれ晴れ間が広がる見通しのため、太陽光に恵まれる日が多くなりそう。0.01円を付ける地域が散見されそうだ。気温は、九州から関東にかけて20度超の日が多くなるとみられ、冷暖房ともに不要の日が続きそう。なお、連系線作業は東西で予定されているため、時間帯によっては価格のボラティリティが大きくなる可能性もある。
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