電力=7月15~19日:前週比で東西ともに大幅反落、猛暑の緩和で冷房需要減少
7月15~19日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東西ともに大幅反落。前週の猛暑が一転し、広い地域で比較的過ごしやすい気温動向となったため、売りが増加、買い気が大きく減少し、価格も下押し圧力が強まった。なお、17日は九州南部が、18日には関東甲信と東海がそれぞれ梅雨明けとなった。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、15日が4.73円、16日が1.16円、17日が1.75円、18日が1.33円、19日が0.66円の東高西低だった。
燃料相場は、前週末からLNGと石炭が上昇した一方、原油が下落した。 北東アジア市場のLNGスポットは、7月18日時点で期近の24年9月着品がmmBtuあたり11ドル台後半となり、前週末時点(7月12日)から0.5ドル程度の上昇となった。欧州の天然ガス相場が反発し、北東アジア市場のLNG相場もつれ高となった。また、米フリーポートプロジェクトで供給トラブルが発生したことも、相場の強材料となった。経済済産業省が17日に公表した、7月14日時点の発電用LNGの在庫は220万トンとなり、前週から21万トンの増加となった。過ごしやすい気温で推移したことで、冷房需要が抑制されたことが影響した。前年7月末時点の194万トン、過去5年平均の219万トンをいずれも上回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、18日時点で24年8月積みがトンあたり139ドル超となった。前週末から2ドル程度の上昇となった。ガス価格の上昇に連動した。 原油相場は、19日午前時点でWTIの24年8月物がバレルあたり82ドル台半ば、ブレントの24年9月物が84ドル台後半で推移した。前週末からWTIは0.3ドル程度の小幅下落、ブレントは1ドル程度の下落となった。中国経済の先行きに不透明感が強まったことが弱材料となったが、米原油在庫が3週連続で下落したため、需給引き締まりが意識されるなど強弱材料が入り混じり、原油先物は日によって値動きにバラつきが生じた。
週を通じた実勢高値は、18日に全9エリアとシステムプライスで付けた21.38円だった。一方、実勢安値は17日に九州で付けた0.01円となった。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比0.17円安の13.01円、東北が同0.43安の12.78円、東京が同4.68円安の13.56円、中部が同3.46円安の13.33円、北陸、関西、中国が同4.42円安の11.83円、四国が同3.76円安の11.42円、九州が同5.13円安の10.78円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比16.7%増の12億7,360万8,910kWh、買い札が同9.2%減の9億3,419万6,300kWhとなった。約定量の週間平均は同1.4%減の7億4,419万8,910kWhだった。
7月15~19日の9エリアの電力需要は、128億4,786万kWhとなり、前週7月8~12日の134億496万5,000kWhから4.2%減少した。なお、曜日を合わせた前年の7月17~21日の需要実績は136億134万7,000kWhで、減少率は5.5%となった。
7月15~19日のJEPXの先渡市場では、約定がなかった。
7月15~19日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
7月15~19日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
7月第4週の電力スポットは、第3週に比べ上昇する見込み。梅雨明けの地域が一段と多くなる見通しのため、日照による暑さの強まりで九州から東北南部にかけて連日の猛暑が予想されている。このため、高水準の冷房需要が連日続くとみられ、価格にも波及するとみられる。ただ、複数の市場関係者から「価格スパイクはない」との見通しが聞かれており、広い地域で厳しい暑さに見舞われた7月第2週に付けた高値の30円超が上値の目安となっているようだ。ガスなどの燃料在庫が潤沢なことや火力発電など供給力が安定していることが上値を抑える要因となっており、発電設備の大規模なトラブルなどが発生しない限り、価格の上昇幅は限定的となりそうだ。
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