電力=8月26~30日:週後半に西日本が急騰、台風10号の影響で
8月26~30日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに続伸した。とくに西日本の上げ幅が大きくなり、台風10号の影響が大きくなった30日受け渡しでは複数コマで40円台を付けるなど、24時間平均は中部で22.02円、北陸から九州の5エリアで25.83円に達した。台風10号の接近により、LNG船などが港に入れなくなったため、火力発電の燃料消費を抑えるべく、九州や関西の複数設備で出力低下や計画停止を実施した。このため、スポット市場への売りが減少するとともに、買い気も強まり、価格上昇が顕著となった。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、26日が1.75円、27日が0.61円、28日が1.88円、29日が1.50円、30日が10.45円の西高東低だった。
燃料相場は、前週末からLNGと原油が上昇し、石炭が下落した。 北東アジア市場のLNGスポットは、29日時点で期近の24年9月着品がmmBtuあたり14ドルとなり、前週末時点(8月23日)から0.35ドル程度の上昇となった。欧州の天然ガス相場が堅調に推移したほか、豪州やマレーシアなどの生産設備が不調となったことも相場の強材料となった。経済済産業省が8月28日に公表した、8月25日時点の発電用LNGの在庫は206万トンとなり、前週から13万トン増えた。前年8月末時点の172万トン、過去5年平均の202万トンをいずれも上回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、29日時点で24年9月積みがトンあたり143ドル台前半となった。前週末から1.5ドル程度の下落。上昇傾向が続いていたため、高値警戒感から売りが優勢となった。ただ、ガスや原油相場が堅調に推移したため、下げ幅は限定的だった。 原油相場は、30日午後時点でWTIの24年10月物がバレルあたり76ドル台前半、ブレントの24年10月物が80ドル台前半で推移した。前週末から、WTIおよびブレントのいずれも1ドル程度の上昇となった。リビア産原油の供給減少懸念が浮上し、需給逼迫に対する警戒から相場は底上げの動きとなった。ただ、高値警戒感から利益確定の売りが出たことや、米国の需要鈍化に対する懸念も生じたため、相場の上げ幅は限定的だった。
週を通じた実勢高値は、30日に西日本で付けた45.00円となった。これは、23年9月21日受け渡しの東京から九州で付けた50.00円以来の高値となる。一方、実勢安値は27日に北海道で付けた9.29円だった。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比0.67円高の14.40円、東北が同0.85円高の15.42円、東京が同0.06円安の15.59円、中部が同1.06円高の17.96円、北陸、関西、中国、四国が同1.68円高の18.63円、九州が同2.45円高の18.22円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比3.7%減の11億3,776万1,530kWh、買い札が同0.9%減の10億8,956万3,780kWhとなった。約定量の週間平均は、同4.5%減の7億6,996万4,580kWhだった。
8月26~30日の9エリアの電力需要は、134億2,067万6,000kWhとなり、前週8月19~23日の143億5,548万9,000kWhから6.5%減少した。なお、曜日を合わせた前年の8月28日~9月1日の需要実績は141億523万5,000kWhで、減少率は4.9%となった。
8月26~30日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
8月26~30日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。320件の約定があり、取引ロットの合計は2,254MW、取引数量の合計は134万6,748MWhだった。
9月第1週の電力スポットは、日中価格が下押す動きとなりそう。8月最終週は、台風の影響で太陽光発電による供給が限定的だったが、9月第1週は西日本が連日の晴れ、東日本も週半ば以降は晴れ間が広がる見通しで、太陽光発電が価格の上値を抑える材料になるとみられる。9月第1週の最高気温は、西日本で32~35度、東日本では関東で30~33度と、一定の冷房需要が見込まれるが、価格動向に影響を与えるような高気温にはならない見込み。なお、西日本の気温動向から西高東低は9月入り後も続きそうだ。また、9月からは定期点検などで停止する火力発電が増えるため、予備力は低下傾向となり、設備トラブルの発生や高気温などで需要が増えた場合、電力スポットは思わぬ高値を付ける可能性がある。
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