電力=11月25~29日:電力スポットは前週比で反落、需給の緩みで
11月25~29受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに反落。全国的に前年および平年を上回る気温動向となった日が多かったほか、晴れ間の日も多くなり、需給の緩みが下押し要因となった。さらに、点検などで停止している火力発電の再開も徐々に増えており、予備力に厚みが増したことも弱材料となった。 東北電力は、女川原子力発電所2号機(定格出力82万5,000kW、BWR型、宮城県女川町)について、24日8時9分に原子炉を計画停止した。これは再稼働工程の一環として予め計画されていた中間停止となる。中間停止は10日間程度の予定で、12月ごろの営業運転開始となる見込み。 九州電力は、9月14日から定期点検に入った川内原発2号機(89万kW、PWR型、鹿児島県薩摩川内市)について、11月28日に原子炉を再起動した。30日に発電を再開する予定で、通常運転は12月25日ごろの見通しとなっている。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、25日が3.27円、26日が3.53円、27日が2.40円、28日が1.40円、29日が1.15円の東高西低となった。
燃料相場は、前週末からLNG、石炭、原油のいずれも下落した。 北東アジア市場のLNGスポットは、11月28日時点で期近の25年1月着品がmmBtuあたり15ドルとなり、前週末時点(11月22日)から0.35ドル程度の下落となった。欧州の天然ガス相場が軟調に推移したため、北東アジア市場のLNG相場もつれ安となった。また、北東アジア市場では売り物が潤沢だったことも弱材料となった。経済産業省が27日に公表した、11月24日時点の発電用LNGの在庫は206万トンとなり、前週から22万トン減少した。前年11月末時点の216万トン、過去5年平均の213万トンをいずれも下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、28日時点で24年12月積みがトンあたり138ドルとなり、前週末から5ドル弱の下落となった。ガス価格の下落に連動した。 原油相場は、11月29日午前の時点でWTIの25年1月物がバレルあたり69ドル超、ブレントの25年1月物が73ドル台前半の水準で推移。前週末から、WTIおよびブレントともに2ドル超の下落となった。イスラエルとレバノンの親イラン派組織ヒスボラが停戦に合意したため、中東情勢の過度な警戒が和らぎ、原油先物は売りが先行した。
週を通じた実勢高値は、26日に全9エリアとシステムプライスで付けた21.02円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、25日に四国と九州で、29日に四国でそれぞれ付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比1.20円安の14.27円、東北が同1.31円安の14.44円、東京が同1.16円安の15.03円、中部が同2.02円安の14.16円、北陸が同1.65円安の12.69円、関西が同1.66円安の12.68円、中国が同1.39円安の12.68円、四国が同0.84円高の11.77円、九州が同0.69円安の12.13円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比0.1%減の10億1,359万5,780kWh、買い札が同4.8%減の9億3,574万6,150kWhとなった。約定量の週間平均は、同2.5%減の7億908万5,700kWhだった。
11月25~29日の9エリアの電力需要は、117億7,874万9,000kWhとなり、前週11月18~22日の114億2,591万2,000kWhから3.1%増加した。なお、曜日を合わせた前年の11月27日~12月1日の需要実績は121億7,276万8,000kWhで、減少率は3.2%となった。
11月25~29日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
11月25~28日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり
12月第1週の電力スポットは、11月最終週を若干下回る動きとなりそうだ。九州から関東の最高気温は15度以上で推移する地域が多く、引き続き冷暖房ともに不要の過ごしやすい陽気になるとみられる。天気は太平洋側中心に晴れ間が続く見通しで、太陽光発電に恵まれる日が多くなる見込み。こうした気象予報に加え、点検などで停止している火力発電の再開も増えるため、供給力に厚みが生じ、価格の上値を抑える材料になるとみられる。一部の市場関係者からは「例年12月の動向をみると、クリスマス前では落ち着いた値動きになるケースが多いため、しばらく大きな変動はないと思う」(新電力の需給担当者)との見方が示されている。
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