アジア石油製品=5月20~24日:韓国積みSR船型91RONガソリンへの買い気が減退
ガソリン 日本で製油所トラブル解消、供給回復で商社の輸入意欲低下 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は前日から横ばい。需要が振るわず、相場は上伸力を欠いている。インドネシアやベトナムなどの石油会社による製油所の定修が一段落し、東南アジアからスポットの買いが乏しい。そのなか、シンガポールの先物市場で6月と7月限の月間価格差が40セントの期先安に縮小している。北東アジアでは、中国の石油会社が6月積みの販売に着手しているが、具体的な取引情報は寄せられていない。中国石油天然気(ペトロチャイナ)が5月積みの輸出を追加したこともあり、同国による5月の輸出量は合計100万トンに達するという。 5月積みの取引では、メキシコ国営石油会社(ぺメックス)が先週までに、5月末~6月中国積みのMR船型3カーゴに加え、シンガポール市場でも5月下旬積みを複数購入していた。シンガポール積みの価格は、FOBベースで米ガソリン市況(RBOB)に対し20セントのディスカウントという。一方、このところ栄盛石化は6月積みのアルキレートMR船型を販売した。価格はFOBベースでシンガポール市況対比15.00~16.00ドルのプレミアムという。 韓国積み91RONガソリン(SR船型)の市況連動相場は下落した。主要な仕向け先である日本からの買い気が減退し、相場は下落した。海外市況安を背景に、日本では韓国品の輸入採算が国内価格より割安となっている。しかし、日本では製油所のトラブルが解消して供給が増える一方で、出荷が遅れ、商社などの輸入意欲は弱まっている。スポットの取引では、韓国石油1社が6月下旬積みを日本向けに販売していたことが判明した。価格はFOBベースで同市況対比3.00ドル台前半のプレミアムと伝えられた。6月後半積みについて、他の韓国石油1社もFOBベースで同市況対比3.00ドル台前半のプレミアムであれば売りを検討している。
ナフサ LPGから切り替え観測が台頭 日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場はバランスを保った。強弱材料がせめぎ合った。 製油所稼働の低下によりナフサの減産が進んでいるという。加えて、ナフサとLPGの価格差が縮小しているため、石化原料としてLPGからナフサへ需要が戻るとの観測が台頭している。一時期のプロパン安を背景に、プロパンの需要とプロパン脱水素装置(PDH)の稼働率が高まり、相場が上昇。ブタン相場はプロパンの価格推移に連動しつつ、中東からの供給量が減少するとの観測にも支えられている。 ただし、石化品の減産が強化されナフサの消費が落ち込む可能性もある。域外からエチレンが流入しているほか、域内のPDHの稼働率上昇によりプロピレンの在庫も豊富だ。両製品の相場は上値が重く、ナフサクラッカーの収益性は改善していないと指摘された。 台湾のフォルモサ石油化学は22日、第1ナフサクラッカーの修繕作業を開始した。7月末まで。フィリピンのJGサミットが保有するナフサクラッカーも再開済み。この設備は9日、不具合により停止していた。
中間留分 ジェット燃料市況高、一時的に供給タイト化 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は切り上がった。販売量が少なく、供給引き締まり感が強まった。市場関係者によると、韓国ではS-オイルが販促を仕掛けたが、その他の石油会社の動きは鈍い。SKエナジーからの6月積みの販売は現時点で2カーゴ程度にとどまっているほか、GSカルテックスなどからの売り物は見られず。中国からの販売も増加していない。市場関係者は「特に6月前半積み品の売りが少ない。域外向けのアーブは閉じたままだが、一時的に供給引き締まり感が生じており、相場は押し上げられた」との見方を示した。また、シンガポール先物市場で期先高が形成されており、月の後半積み品への買い気が高まりやすい環境だ。 コスモ石油堺製油所における持続可能な航空燃料(SAF)のプロジェクトが着々と進んでいる。2024年11~12月に着工、2025年春に認証を獲得し、以降本格的に稼働となる見通しだ。同製造所は国内初の大型SAF製造プラントとなり、日揮ホールディングス、コスモ石油、レボインターナショナルの合同会社である「SAFFAIRE SKY ENERGY」が運営する。製造能力は年間3万kl。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は弱含み。需給緩和感を反映した。アジア域内の実需は経済の鈍化から振るわない。また、主要な買い手である豪州は冬季を目前に控えて購入量を抑えている状況だ。一方、韓国、中国の石油会社は6月積み品の売りを一定量計画している。アジアへの中東やインド品の流入も続いているとあって、需給は緩んでいる。
重油 ダンゴテ製油所出しのLSSRが欧州に到着 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は変わらず。ただし、アジア域内では引き続き余剰感が後退しており、相場の基調は強含んでいる。 一方、市場関係者によると、今年操業を開始したナイジェリアのダンゴテ製油所(日量65万バレル)が輸出した低硫黄ストレートラン重油(LSSR)が初めて欧州に到着した。船舶用のVLSFOの基材になるもようだ。同製油所はアフリカ最大の製油所で、軽油などの石油製品を輸出している。今後、重油についても輸出量が増加するとの観測が聞かれる。
マーケットニュース 韓国石油大手の現代オイルバンクは、グアム島のグアム電力公社(GPA)に対し、2024年から3年間にわたり0.001%S軽油を計720万バレル供給する。同島政府の環境対策の一環で、発電燃料の一部を既存の重油から0.001%S軽油に切り替え、二酸化炭素の排出を削減する狙いという。現代オイルバンクにとっては軽油の供給先の確保につながる。
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