第71回 都市ガスの小売り全面自由化スタート、盛り上がりはいまひとつ?~の巻(2017年5月10日)
あー、きょうも田植えがはかどったぞ。5月は農作業に最適な季節だね。いい汗かいたから、シャワーを浴びよう。リミー、ガスのスイッチ入れてくれるかな?
お兄ちゃん、またシャワー浴びるの?きょうだけで、もう5回目よ。水道代、ガス代だってバカにならないんだから。
リミーがそう言うと思ってね、実は先日、ガス会社を料金の安い○☓電力に変更したんだ。1年間で数千円は節約になるんじゃないかな?
え?ガスなのに電力会社?一体どういうこと?
2017年4月1日から、一般家庭を対象にした都市ガスの小売り全面自由化が始まったんだ。日本では1995年以降、大規模工場、商業施設、ホテル向けなど、年間使用量に応じて、段階的にガス事業の自由化が進められてきた。そして、最後に一般家庭向けを対象とした小売りの自由化が、この春から始まったというわけさ。
自由化っていうことは、誰でもガスを販売することができるのね。ガス会社以外にはどんな会社があるのかしら。
資源エネルギー庁によると、17年3月末時点で「登録ガス小売事業者」として登録されているのは、全国で45事業者。電力会社、石油会社、液化石油ガス(LPG)販売会社などが多いようだね。登録事業者は、同庁のホームページで確認できるよ
(http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/gas/liberalization/retailers_list/#ga01)
自由化といえば確か、1年前に一般家庭向けの電力小売り自由化も始まっていたわよね。電力販売では、たくさんの会社が新規参入したっていう話を聞いたけど、ガスはどうしてそれほど登録事業者が増えないのかしら?
いい質問だね。いくつか理由が言われているよ。まず都市ガスの場合、ガスを通すための導管が必要になるけれど、導管が整備されているのは都市部がほとんど。逆に、地方都市や山間地などでは導管がない地域がたくさんあるってことだね。日本の都市ガス普及率は全家庭の半分以下で、ボンベで届けられるLPGを使っている家庭、それにオール電化住宅も増えているんだ。だから電力自由化と違い、対象となるマーケットが少ない。それに、ガスコンロや給湯器など家庭内の機器類の安全点検(保安責任)が義務付けられているから、これも新規参入業者にとっては負担になりそうだ。
確かに山間地にガス管を敷設するとしたら、かなり大変な作業になるし、お金もかかるわね。
それに、自由にガスを調達できる取引所が整備されていないこともあり、実質的に参入できるのは、すでにガスを保有している電力会社や石油会社などに限られちゃうんだね。言ってみれば、「少数激戦」型の競争になりそうだよ。だから、自由化の恩恵で一般家庭のガス料金が大きく下がるか、実際のところはよくわからないね。
「自由化」って聞くと、なんでもうまくいくように感じてしまうけれど、業界によって事情は様々なのね。
このコーナーに対するご意見、ご質問は、リムゾー&リミーまで 電話 03-3552-2411 メール rimzo@rim-intelligence.co.jp |
「やさしいエネルギー講座」
から出題!
2017年4月に始まったのは何の小売り全面自由化?
正解と思ったボタンを押してみよう。
エネルギーの知識をさらに深めたい人は、一般社団法人日本エネルギープランナー協会の検定に挑戦してみよう!
(リム情報開発は、一般社団法人日本エネルギープランナー協会を応援しています)