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第72回 太陽光発電の未来は快晴? ~の巻(2017年5月24日)

お兄ちゃん、今日は学校の体育祭だったけど、天気が曇りで過ごしやすかったね〜

うん、リミー。体育祭は曇りで涼しかったけど、太陽光発電の事業者は逆に冷や汗をかいているかもしれないよ。

太陽光発電?

リミー、太陽光、太陽熱、水力、風力、バイオマス、地熱などをまとめて再生可能エネルギーって言うのは知ってるかな?石油や石油などの化石燃料に比べて短期間で再生が可能なんだ。そして地球温暖化の原因となる二酸化炭素をほとんど排出しないのも特徴なんだ。
東日本大震災以降、原発が相次いで稼働停止に追い込まれたのをきっかけに、政府は太陽光を含む再生可能エネルギーを普及させようと、2012年から固定価格買い取り制度(FIT)を始めたんだ。再生可能エネルギーを利用して発電された電力を大手電力会社に買い取らせることを義務付けたのさ。

そう言えば去年富山に旅行に行った時、太陽光のパネルがたくさん並んでいるのを見たよ。

太陽光のパネルはあちこちで見かけるよね。政府は当初、新規事業者の参入を後押しするため、10KW以上の非住宅用の場合、電気の買い取り価格を1キロワット時40円と高めに設定したんだ。こうした追い風もあって、FIT制度が始まって以来、クリーンエネルギー、特に太陽光は注目を集めてきたのさ。

太陽光発電って、地球にやさしそうだし、なんだかカッコいいわ。

でも新規参入が太陽光に偏っているという弊害も出ているんだ。だって、他の再生可能エネルギーに比べ、設備の設置が比較的容易だからね。経産省の調べによると、認定を受けた発電所のうち、2016年12月末時点で稼働しているのは4割に満たないみたいだよ。
とりあえず売電の権利だけ取って設備の建設は後回し、収益性を高めるために発電装置の価格の値下げを待つ企業もあるなど理由はいろいろだけど、発電以外のコストがかさむのも低稼働のひとつの理由じゃないかな。発電密集地域の送電網につなぐ工事費、天候が悪い時の予備電源の調整など、さまざまなコストがかかるからね。

へぇ~いろいろな問題があるのね。

このように、太陽光発電に偏った導入や、大手電力会社が高い買い取り価格を消費者に転嫁し、国民の負担が増えるという問題が起きたため、政府は今年4月にFITを改定。買い取り価格も年々引き下げて、ついに21円になってしまったんだ。

じゃ~良かったね。問題解決??

う~ん。事業者にとっては、売電価格がほぼ半分になる訳だし、採算悪化から撤退を考えるところも出てくるかもしれないね。
政府は2030年度時点で、原発、火力や水力を含めた全電源における再生可能エネルギーの構成比率を22〜24%にまで高める計画を打ち出しているよ。そのうち太陽光は7%程度。今の状況を考えると、政府の思惑通りに進むかどうかは、今日の天気と同じく、曇りマークと言わざるを得ないね。

このコーナーに対するご意見、ご質問は、リムゾー&リミーまで
電話 03-3552-2411
メール rimzo@rim-intelligence.co.jp

(文:林 )
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政府が2014年に発表したエネルギー基本計画で、2030年時点の全電源に占める再生可能エネルギーの構成比率は次のうちどれ?

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