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第74回 石油化学メーカーが自動車?? ~の巻(2017年6月21日)

お兄ちゃん、自動車買うの? ついに赤い角ばった自動車とはおさらばなのね。

辛辣な登場コメント……。タイトル脇でぼくが乗っている自動車は、まだまだ走る、と思うよ。これは自動車のパンフレットじゃなくて、石油化学メーカーが、自社技術をふんだんに盛り込んだ自動車のコンセプトモデルを制作しました、というニュースリリースなんだ。

石油化学メーカーが自動車?

もちろん大量生産して自動車業界に殴り込み、というわけじゃない。自動車部品にはたくさんの石油化学製品が採用されていて、「自社の技術を利用すれば、どのような自動車が実現可能か」というのをメーカーが具体化したコンセプトモデルを発表しているんだ。こうした取り組みは複数の石油化学メーカーが行っているね。

石油化学製品と自動車ってそんなにかかわりが深いの?

さまざまなパーツに、たくさんの石油化学製品が採用されているよ。たとえばバンパーやデッキボードにはポリプロピレン、ドアミラーカバーやスポイラーにはABS樹脂(アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合樹脂)が使われているんだ。低燃費タイヤにも、S-SBR(溶液重合法SBR)などの高機能な合成ゴムが不可欠だね。

本当にたくさん使われているのね。まだまだ増えそうなの?

燃費性能の向上による省資源化、二酸化炭素の排出量削減のため、エンジン性能をはじめ、ハイブリッド車、電気自動車といった動力に関する取り組みも大事だけれど、それと同じぐらい車体の軽量化も大事なんだ。これまで鉄を中心とした金属で生産されていた部品を、段階的に石油化学製品に置き換えることもそのひとつの手段なんだ。その中でも注目されているひとつが、最近では航空機に採用されているCFRP(熱硬化炭素繊維複合材料)なんだよ。

CFRPって航空機業界で採用が進んでいて、航続距離が伸びた結果、新路線が登場なんていう話もあったよね。でも街を走る自動車にも採用されているとは気づかなかったなぁ。

実際に採用されているのは、超がつくような高級車が中心。量産車にはいまのところ、ほとんど採用されていないんだ。コスト面や加工性、さらにはリサイクルのしやすさ、安全性能でのノウハウ蓄積といった点において、まだ鉄に一日の長があるともいえるね。将来的に、環境基準がさらに厳しくなれば、車体の軽量化がますます求められるだろうから、CFRPに限らず石油化学製品の採用が一段と加速するのかも。鉄の塊と呼ばれる自動車が、プラスチックの塊、なんて呼ばれる日が遠くない未来に来るのかもしれない。

わたしは鉄の塊でいいから近い未来に新車が欲しいわ。

……ぎゃふん。

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(文:北村 )
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航空機を軽量化するために使用される、熱硬化炭素繊維複合材料と呼ばれる素材をアルファベット4文字で表すと?

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